識別ノート-04
アビ類冬羽の識別

 ■喉輪の比較

シロエリオオハムの冬羽には「黒い喉輪」があるというのが識別ポイントとなっています。
しかし、図鑑によると「みえないものもある」(日本の鳥550)、「幼鳥ではこの黒い帯が淡色か、ない個体もいる」(山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥)とあります。反面、一番シロエリオオハムとの識別に困るオオハムに、首輪がないという表記も見あたりません。
海外の図鑑も見てみました。ヨーロッパではシロエリオオハムは見られないようなので、両種が見られる北米の図鑑を見てみました。「The SUBLEY Guide to Birds」のイラストでは、オオハムにも顎から喉方向に伸びる黒褐色の斑があり、切れた輪っかのよう見えます。シロエリオオハムには、はっきりと繋がった輪が描いてあり、「most have dark "necklace"」とあります。
昨年福岡で観察したオオハムにはうっすらと首輪状のものが見えたので、オオハムにもそのような個体がいるのかなと思っていました。左の上の写真です。顎から伸びた斑が、喉中央で喉のくびれの上で繋がって見えます。
しかし、首を上げて喉がよく見えている別カット(左下の写真)を見ると、斑はぼやけてしまって、輪があるとは見えません。今年見た個体にも同様な細い首輪状のものがありました。
つまり、オオハムにも首輪状のものが見える場合があるが、シロエリオオハムの場合は、大部分に濃い首輪があると考えるのが良いのではないかという気がします。濃くはっきりした首輪があれば、それはシロエリオオハムと言うことです。

アビ

アビには喉輪状のものは見えない。

オオハム

この個体も顎から伸びる、喉輪状のものが見えるが、細くて、喉中央ではかすれていて、喉のくびれの線と重なっている。

上と同じ個体。この角度から見ると、はっきりと輪が切れていることが分かる。

シロエリオオハム

オオハムとは違って、明らかに首輪は太く、喉のくびれの線より上方に見える。

こちらの首輪はより太く、喉のくびれの線の上方に見える。

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