識別ノート-01
カモメ類の基本種

カモメ類に関しては凄くはまっている人もいる反面、年齢による羽衣の色の変化などから面倒くさがられて敬遠している人もあるようです。また、色も地味だし、可愛いと言う感じでもないせいでしょうか。
よく行かれるフィールドが内陸の場合は、目にする機会が少ないでしょうが、海岸や河川の下流に行けば、都会でもその姿を見る機会は多いはずです。
カモメ類の場合、多くの場合群れており、何種か混じっている事もよくあります。
また飛んでいない時は、じっと休んで羽繕いをしていたりしますので、じっくり観察しやすい種類ではないでしょうか。
かくいう私も鳥見を始める以前には、室見川でユリカモメにパン屑をやっていたんですが(今は野鳥に餌はやらない方針です)、パン屑に群がらず、中洲にたむろしているカモメ類がなんだか全然分からなかったのです。双眼鏡も持っていなかったし、当時持っていた図鑑にない茶色の個体などがいて、何がなんだか分からなかったのです。
カモ類の識別に関しては氏原巨雄・氏原道昭氏の「カモメ識別ハンドブック」(文一総合出版)があり、同氏の「カモメ識別サイト」があり、詳細な説明がされています。またdarumaさんも「鳥見のススメ」でカモメ類の識別をやられていますが、専門的になるに従って、やっぱり難しいですね。
ということで、鳥見歴がまだ3年に満たない私が、自分の勉強のためにまとめてみることにしました。
ここではカモメ類の一般的な種の見分け方を取り上げます。一般的な種といっても地域差があります。ここで取り上げたズグロカモメは北部九州以外ではほとんど見られないかも知れません。また、北海道などではシロカモメ、ワシカモメが比較的よく見られるでしょうが、ユリカモメは少ないかもしれません。

 ■カモメ類について

ここで言うカモメ類は、チドリ目カモメ科の中で、アジサシ類以外を言います。中型の海鳥で、嘴の先は少し鈎状に尖り、前方の3本の足指には水かきがあります。海岸の断崖や、島嶼で繁殖し、魚や動物の死骸などを食べる肉食です。
同じカモメ科のアジサイ類は、スマートな体形で、嘴が細く尖っていて、翼も長く細く、尾が凹尾である点が違います。また、カモメ類はどちらかというと寒いところで繁殖しますが、アジサシ類は熱帯で繁殖する種が多いという傾向があります。
カモメ類は生まれてから成鳥になるまでに2〜4年かかります。その間に全身を覆う羽を、古い羽を落とし、新しい羽をのばすことにより、切り替えていく換羽というものを行います(春の換羽時期には全身ではなく尾羽と、風切羽は換羽しない部分換羽が多い)。まず夏に生まれた雛は綿毛に包まれていますが、すぐに茶色っぽい幼羽という羽衣になり体型的にも成鳥と同じようになります。そしてその秋には第一回冬羽に換羽します。翌年の春には第一回夏羽となり、秋〜冬には第二回冬羽となります。こうしてモノトーンの成鳥羽(夏羽)になるまで繰り返し、成鳥も夏羽、冬羽を繰り返します。この羽衣の変化によりカモメ類は年齢が分かるわけですが、逆にこのことでカモメ類をわかりにくくしているようです。

 ■羽の事について

さて換羽の事を書きましたが、鳥の各部分は図鑑などで良く図になって出ているのを見られた事があると思います。(残念ながら私のWeb図鑑にはまだそれがないのですが…)
下の写真を見てください。オオセグロカモメが翼を畳むところで、左の翼は畳まれており、右はまだ開いた状態です。ここで注目してもらいたいのが、右翼の一番外側手前の部分、他の灰黒色の部分より一段と黒くて、白斑が見える部分があります。ここが図鑑などの識別で良く出てくる初列風切です(本来はもっと色差のあるセグロカモメが良かったんですが、都合のいい写真がありませんでした)。初列風切より内側は灰黒色の先が広く白くなっています。ここが次列風切、そして背の中央に近い部分が三列風切です。
次に左側を見ると、黒くて白斑のある初列風切が、三列風切の大きな白い羽先の下になっているのが分かります。
そんなこと当たり前じゃんと言われると、返す言葉はないのですが、鳥の羽は一番外側の羽が一番下に畳まれます。実は私はこのことを理解するのにかなり時間を要しました。
カモメ類のように、翼を畳んだ時に三列風切の先に初列風切が見える状態を「初列突出」があるといいます。この状態はすべての鳥に当てはまるわけではなく、よく似た鳥の識別に有効だったりするので、覚えておかれると良いともいます。
さてこのオオセグロカモメの初列風切は、先端に白斑がありますが、一番外側の羽(P10といいます)には、さらに途中に白斑があります。これをミラーと呼んでいます。
このあたりは難解なセグロカモメ類の識別に必要なのですが、私もまだ良く理解できていません。
まあ、初列風切と言う言葉と、場所、そして畳んだ時の見え方をしっかり覚えておいてください。

右翼を畳むところのオオセグロカモメ

 ■まずは大きさで判別

カモメ類を見かけた時、最初に気づくのが大きさでしょう。
ということで、その大きさから識別を始めましょう。
カモメの種類をサイズ的に大まかに分けると、大型、中型、小型の3タイプに分けられます。
大型カモメ類はセグロカモメ、オオセグロカモメ等で、60cm前後で、ハシブトガラスと同じか少し大きい感じです。
中型カモメはウミネコ、カモメ等で、45cm前後で、ハシボソガラスより少し小さいサイズになります。小型カモメはユリカモメ、ズグロカモメ等で40cm前後となります。
さてその大きさの差はすぐに識別できるものなのでしょうか?
カモメはL40〜46cmで、ユリカモメはL37〜43mなので、カモメの小さい個体と、ユリカモメの大きい個体は大きさが逆転してしまう事もあるようです。実際にそんな例は記憶にありませんが…。まあ、ユリカモメは識別が容易ですので、サイズが逆転していても問題ないでしょう。(右上写真参照)

分類
体長
該当種

大型カモメ

60cm前後

セグロカモメ,オオセグロカモメ

中型カモメ

45cm前後

ウミネコ,カモメ

小型カモメ

40cm前後

ユリカモメ,ズグロカモメ

左カモメと右ユリカモメ

ということで、カモメ類を3つの大きさのタイプに分けました。ここまではあまり問題ないかな?

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