KOWA TD・1を使ってみる
1.全体の感想

80近い義父は、銀塩一眼+安価な長玉を使用して野鳥を撮っていましたが、ぶれる、ピントが合わない、どうしても被写体が小さくしか映らないという問題を抱えていました。まあ三脚にも問題があるのですが、総じて使い勝手が悪そうでした。それで、何か良いのがないかと言われたのですが、通常のデジスコではちょっと使いこなせないと思い、以下の理由でこのTD・1を薦めていました。
1.一体型でコンパクト。
フィールドで、義父がカメラのボディと長玉を取り付けている様を見ていて、スコープにデジカメ、アダプターetc.と取り付け部品が多いデジスコは無理だと判断。TD・1はその点なにも接続する必要がありません。
2.観察から撮影がスムーズ。
長玉一眼では観察には向かず、デジスコもスコープでの観察とデジスコに切り替えるのにも時間がかかる。そういった点でTD・1ならば、タイムラグがない。
3.デジタルだと言うこと
フィルムの場合、現像プリント代がかかるため、どうしてもシャッター数が少なくなり、なかなか上達しないため、兎に角撮れるデジタルを薦めました。
 
しかし発売が1年伸びて、どうするのかな?と思っていたところ、出た途端義父が速攻TD・1で買ってしまったのには驚きました。
で義父が使っているのを見ると、以前よりよくなっているのは確かでした。
私も借りてみて実際に1日使ってみました。

スコープとして使ってみる。
私がアングルタイプのスコープをメインにしているため、とっさには覗くことできず、そこで四苦八苦しましたが、10〜30倍のズームタイプなので、被写体は入れやすかったです。ただし、胴回しもズームリングとピントリングが鏡筒にあるため、間違えてばかりでした。間違ってフードもかなり回しました…。LeicaやNikonのような小さなピントノブを使用している人には、アイリングからかなり手が離れるために、慣れが必要だと思いました。
被写体が20mを越えると、カメラ部の電源が入っていると、シャッター半押しでオートフォーカスが効きます。しかし100%合唱するわけではなく、20m未満はもともと手動でしかピント調整はできないため、それほど威力は発揮しませんでした。
あと、中央に視度調整用の括弧がありますので、このスコープを使用してのデジスコは不可能です。
また、アイピースを覗いた時、オートフォーカスの合焦ランプが下の方に見えます。

カメラとして使ってみる。
カメラ部はやはり弱いです。314万画素なのでCoolPix990と同じなのですが、調整できる機能が殆どありません。簡単であることを重視されたのでしょうが、いじれるところは露出補正だけ。ISOも100〜200の自動だし、シャッタースピードも何もいじられない。
シャッターを押すと、スコープはかなり長くブラックアウトし、液晶側は撮影映像が表示される。従って、スコープを見ながら撮影すると、何も見えない状態になってしまう。液晶は当然野外では光ってしまうので、フードがなければ使用できません。カメラ関係の情報は液晶にしか出ませんので、スコープを覗いているだけでは、残り枚数や露出補正も分かりません。ピント合わせに液晶を4倍までズームできるとありますが、画像が悪く、あまり使えない感じでした。
焦点距離の450〜1350mmは、長玉とそう大差がなく、通常2000mmくらいで撮っている私には、物足りないアップでした。
しかし、デジカメをカメラに固定せずに押しつけで撮っている私にとっては、見たら撮れる、一度ピントを合わせたら撮れるシステムの手軽さは快適でした。
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