スズメ目
PASSERIFORMES
メボソムシクイ科
Phylloscopidae
メボソムシクイ属
Phylloscopus (Boie, F, 1826)

メボソムシクイ(目細虫喰)
Phylloscopus xanthodryas (Swinhoe, 1863)  Japanese Leaf Warbler
L12.5~13cm W20cm
夏鳥・旅鳥
亜高山の針葉樹林
【1】2013.09.02福岡県福岡市、室見川野生の広場にて撮影。
銭銭銭と聞こえる鳴き声で鳴くムシクイ類。
■形態
雌雄同色。上面は褐色味を帯びた暗緑色で、大雨覆先端が白く、細い翼帯となるが、はぼ見えないものもある。翼と尾は黒褐色で羽縁が暗緑色。黄色味のある長い眉斑と暗色の過眼線があり、頭央線はない。頬からの下面は淡黄色のものや汚白色のものもある。嘴は暗褐色で、下嘴の先端以外は黄色。脚は橙褐色。
近縁のオオムシクイ、コムシクイとは外見での識別は難しく、メボソムシクイは初列風切P10は最長初列雨覆より長く、先端は丸みを帯びる傾向がある。
■鳴き声
「チョリチョリ チョリチョリ」「ジロジロ ジロジロ」など囀りは尻上がりに大きくなる。地鳴きは搾り出すような低い声で「ギュッ」「ジュッジュ」。
■採餌
枝先で昆虫類、クモ類などを獲る。
■繁殖
亜高山帯の蘚苔類で地表が覆われている林床の斜面のくぼみに、主に蘚苔類で横に穴の空いた球状の巣を作る。白地に赤茶色、青灰色の小斑のある約1.8×1.4cmの卵を、通常4〜6個産み、雌だけが約12〜13日間抱卵する。巣立ちまでは13〜14日。
■備考
従来のメボソムシクイとされてきたの記録は、鳴き声等を聞いていない限り、識別不可のため、メボソムシクイ類とするしかない。
■名前の由来
江戸時代中期より「めぼそむしくひ」「めぼそ」の名前で知られ。「やまうぐいす」「やなぎめじろ」「じめき」の異名もある。ムシクイ類の中で目が細く見えるというわけではなく、命名不明。
■亜種
亜種はない。
■分類問題
日本鳥類目録は6版まではオオムシクイ(Phylloscopus examinandus)を、メボソムシクイの亜種コメボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas examinandus)としていたが、7版より別種となった。
■分布
本州から九州で繁殖し、台湾、フィリピンおよびインドネシア北部で越冬する。
■福岡での事例
福岡では旅鳥として5月上旬頃渡来する。秋は8〜9月頃通過するものと思われる。
【室見川】2013年9月、2023年9月野生の広場で観察した。
【新宮町】2016年5月相島で観察。
【筑紫野市】2014年4月立明寺で記録がある。
【福津市】2011年5月、2014年5月に渡で、2019年5月津屋崎で記録がある。

【2】下嘴先端は黒い。2012.09.12福岡県福岡市、室見川河畔公園にて撮影。

【3】2012.09.12福岡県福岡市、室見川河畔公園にて撮影。

【4】枝先で虫を獲る。2023.09.23福岡県福岡市、室見川河畔公園にて撮影。

【5】頭央線がない。2013.09.02福岡県福岡市、室見川野生の広場にて撮影。

【6】初列突出が大きい。2012.09.12福岡県福岡市、室見川河畔公園にて撮影。

【7】初列風切P10が長く、最長初列雨覆より長い。2023.09.23福岡県福岡市、室見川河畔公園にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
※禁無断転載
2023/09/24作成