- 銭銭銭と聞こえる鳴き声で鳴くムシクイ類。
- ■形態
- 雌雄同色。上面は褐色味を帯びた暗緑色で、大雨覆先端が白く、細い翼帯となるが、はぼ見えないものもある。翼と尾は黒褐色で羽縁が暗緑色。黄色味のある長い眉斑と暗色の過眼線があり、頭央線はない。頬からの下面は淡黄色のものや汚白色のものもある。嘴は暗褐色で、下嘴の先端以外は黄色。脚は橙褐色。
近縁のオオムシクイ、コムシクイとは外見での識別は難しく、メボソムシクイは初列風切P10は最長初列雨覆より長く、先端は丸みを帯びる傾向がある。
- ■鳴き声
- 「チョリチョリ チョリチョリ」「ジロジロ ジロジロ」など囀りは尻上がりに大きくなる。地鳴きは搾り出すような低い声で「ギュッ」「ジュッジュ」。
- ■採餌
- 枝先で昆虫類、クモ類などを獲る。
- ■繁殖
- 亜高山帯の蘚苔類で地表が覆われている林床の斜面のくぼみに、主に蘚苔類で横に穴の空いた球状の巣を作る。白地に赤茶色、青灰色の小斑のある約1.8×1.4cmの卵を、通常4〜6個産み、雌だけが約12〜13日間抱卵する。巣立ちまでは13〜14日。
- ■備考
- 従来のメボソムシクイとされてきたの記録は、鳴き声等を聞いていない限り、識別不可のため、メボソムシクイ類とするしかない。
- ■名前の由来
- 江戸時代中期より「めぼそむしくひ」「めぼそ」の名前で知られ。「やまうぐいす」「やなぎめじろ」「じめき」の異名もある。ムシクイ類の中で目が細く見えるというわけではなく、命名不明。
- ■亜種
- 亜種はない。
- ■分類問題
- 日本鳥類目録は6版まではオオムシクイ(Phylloscopus examinandus)を、メボソムシクイの亜種コメボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas examinandus)としていたが、7版より別種となった。
- ■分布
- 本州から九州で繁殖し、台湾、フィリピンおよびインドネシア北部で越冬する。
- ■福岡での事例
- 福岡では旅鳥として5月上旬頃渡来する。秋は8〜9月頃通過するものと思われる。
【室見川】2013年9月、2023年9月野生の広場で観察した。
【新宮町】2016年5月相島で観察。
【筑紫野市】2014年4月立明寺で記録がある。
【福津市】2011年5月、2014年5月に渡で、2019年5月津屋崎で記録がある。
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