- 冬の林で小さく啼きながら採餌する頭頂が黄色い小さな鳥。
- ■形態
- 雌雄ほぼ同色。
雄は頭部は灰色味を帯びた褐色で、頭頂に2本の黒褐色線で挟まれた黄斑があり、その中央にオレンジ色の斑がある。
背から上尾筒、小雨覆、肩羽はオリーブ褐色。
尾羽は凹尾で黒褐色で、羽縁は淡黄色。
翼は灰黒色で外側羽縁が淡黄色。
初列大雨覆、大雨覆、中雨覆および次列風切基部が黒く、中雨覆と大雨覆、三の先端が白く2本の翼帯となる。
嘴は黒く、目の周囲は淡色で虹彩は黒い。喉からの下面は淡オリーブ褐色。脚は黒から暗褐色。
雌は頭部の黄斑の中にオレンジ色の斑がない。
- ■鳴き声
- 囀りは「ツツツツティーツィツィチョチョ《などで、結構大きな声で鳴く。地鳴きは「ツィ、ツィ《「チチチ《で、高く細く小さい鳴声。
- ■採餌
- 枝移りしながらガの幼虫などの昆虫類を補食するが、ホバリングしながら葉先の餌をとることも良く行う。
- ■繁殖
- 産卵期は6~7月。針葉樹の枝先の葉の間に、蘚類、地衣類、イネ科の椊物の葉などで作られた、椀型の巣をクモの糸でぶら下げる。通常5~8個産卵し、抱卵日数は約18~20日で、巣立ちまでは約18~20日。
- ■吊前の由来
- 平安時代より松の葉をむしるという意味で「まつむしり《の吊前で知られ、室町時代から頭頂の黄色い羽を菊の花に見立てて「きくいただき《の吊前で呼ばれる。「きくい《「すぎむし《「はなかぐめ《「はなかたみ《などの異吊もある。
- ■亜種
- 28亜種がある。
ギニアから中央アフリカ共和国西部で繁殖する亜種P.r.camerunensis、
スーダン東中央部及びエチオピア南西部、同南部からナミビア北東部及び南アフリカ東部で繁殖する亜種P.r.regulus、
ヨーロッパ西、中央、南部及び小アジアで繁殖する亜種R.i.ignicapilla、
コーカサス西部で繁殖する亜種R.i.caucasicus、
クリミア半島で繁殖する亜種R.i.tauricus、
バレアレス諸島及びアフリカ北西部で繁殖する亜種R.i.balearicus、
アラスカ極南東部及びカナダ南西部からオレゴン州(米国北西部)で繁殖する亜種R.s.olivaceus、
アラスカ内部よりカナダ西中央部及び米国西中央部からメキシコ北部で繁殖する亜種R.s.apache、
カナダ中央、東部及び米国北東部で繁殖する亜種R.s.satrapa、
メキシコ中央部で繁殖する亜種R.s.aztecus、
メキシコ南部及びグアテマラで繁殖する亜種R.s.clarus、
ヨーロッパ及びシベリア西部で繁殖する亜種R.r.regulus、
ラ・ゴメラ島及びテネリフェ(島カナリア諸島西中央部)で繁殖する亜種R.r.teneriffae、
ラ・パルマ島及びエル・イエロ島(カナリア諸島西部)で繁殖する亜種R.r.ellenthalerae、
サンミゲル島(アゾレス諸島東部)で繁殖する亜種R.r.azoricus、
サンタマリア島(アゾレス諸島南東部)で繁殖する亜種R.r.sanctaemariae、
アゾレス諸島西、中央部で繁殖する亜種R.r.inermis、
クリミア半島、小アジア及びコーカサス地方で繁殖する亜種R.r.buturlini、
アゼルバイジャン南東部及びイラン北部で繁殖する亜種R.r.hyrcanus、
シベリア南中央部で繁殖する亜種R.r.coatsi、
天山山脈(アジア中央部)で繁殖する亜種R.r.tristis、
アフガニスタン東部からヒマラヤ西部で繁殖する亜種R.r.himalayensis、
ヒマラヤ東部から中国北中央部で繁殖する亜種R.r.sikkimensis、
中国中央、南中央部及びミャンマー北東部で繁殖する亜種R.r.yunnanensis、
シベリア南東部、中国北東部、韓国及び日本で繁殖する亜種キクイタダキ(R.r.japonensis)。
- ■分類問題
- ヨーロッパから中国、カラフトまでの温帯から亜寒帯に分布。冬季は暖地へ移動する。
日本では本州中以北の1500m以上の亜高山の針葉樹林で繁殖し、本州南西部以南で越冬する。
- ■福岡での事例
- 福岡でも冬鳥。年によって渡来数の増減が大きい。
【室見川】2000.11.07小田部中央公園にて3羽、2002.01.04曲渕ダムパークにて5+、2005.11.13橋下八幡にて観察。
【小戸公園】2004.03.25園内松林で群れを観察。以降冬季園内でほぼ毎年観察。
【今津】2000.10.29今津干潟コーナーにて観察。以降周辺の神社などの林などで観察。
【大濠公園】2000.10.31中ノ島にて観察。以降冬季園内でほぼ毎年観察。
【志賀島】2006.03.20国民休暇村にて観察。
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