スズメ目ヒタキ科ノビタキ属
order PROCELLARIIFORMES Family MUSCICAPIDAE SAXICOLA

ノビタキ(野鶲)
Saxicola torquata Common Stonechat

L13cm W21cm
夏鳥又は旅鳥
草原
【1】ほぼ夏羽の雄。2008.4.16福岡県相ノ島にて撮影。
黒い体にオレンジ色の胸が印象的な小型のツグミ類。
■形態
雄夏羽は、頭部から背、尾は黒く、側頸、腰は白い。翼も黒く、大雨覆に細長い白斑がある。喉は黒く、胸はオレンジ色で、腹から腹にかけては白い。脚は黒い。
雌夏羽は、上面が黒褐色で、淡褐色の縦斑がある。淡い眉斑が出るものもいる。喉は白く、胸は淡褐色。翼の白斑も小さい。
冬羽では雌雄とも上面は茶褐色となり、胸のオレンジには腹まで広がる。雄は頭部の黒みが残り、喉も黒い。
幼羽では雌夏羽に似て、上面は黒褐色だが、翼などに淡褐色の羽縁がある。喉から下は淡い褐色身を帯び、胸に淡褐色の縦斑がある。
■採餌
空中を飛んでいる虫や、地表を歩いている虫等を食べる。
■繁殖
産卵期は5〜7月。丈の低い草原につがいで縄張りを持ち、地上の草の根元や岩陰に、枯草や細根でお椀型の巣を作る。通常5〜7個産卵する。
■鳴き声
灌木のてっぺんなどの見晴らしの良い場所で「フチィヨフイフイチー」「チチョーチィ、チュウチューイ」等とさえずる。地鳴きは「チッ、ジャッ、ジャッ」と高い声と濁った短い声を出す。
■亜種
日本に渡来するのは亜種ノビタキ(S.t.stejnegeri)。
■備考
夏羽雄の頭部の黒色は、繁殖後に換羽した褐色の羽先が、越冬期にすり切れて根元の黒色が見えるもの。
■分布
ユーラシア大陸、アフリカで広く繁殖し、冬期はアフリカ北部、中近東、インド、東南アジアで越冬する。日本には本州中部以北に夏鳥として渡来し繁殖する。
■福岡での事例
福岡では旅鳥で4月及び10月頃通過する。
【室見川】下〜中流の芦原、周辺農耕地で春秋に観察。
【今津】周辺農耕地で春秋に観察。

【2】夏羽に換羽中の雄。頭部は黒いが、腹までオレンジ色が残っている。雨覆の白斑もまだ、小さい。2007.4.7今津田尻農耕地にて撮影。

【3】夏羽に換羽中の雄。まだ頭部はあまり黒くない個体。雨覆の白斑は既に出ている。2001.4.8今津田尻農耕地にて撮影

【4】夏羽雄。2002.6.30北海道根室市にて撮影。

【5】冬羽に換羽中雄。2003.10.18今津田尻農耕地にて撮影。

【6】夏羽に換羽中の雌。2006.4.16今津田尻農耕地。

【7】ほぼ夏羽の雌。2003.4.17室見川室住団地前にて撮影。

【8】夏羽雌。眉斑があるタイプ。2002.6.30北海道根室市にて撮影

【9】夏羽雌。眉斑のないタイプ。2003.6.17北海道苫小牧市にて撮影。

【10】冬羽に換羽中雌。2001.10.6今津田尻農耕地にて撮影。

【11】冬羽雌。2005.10.25今津田尻農耕地にて撮影。

【12】幼羽。2002.6.30北海道根室市にて撮影。

【13】左幼羽、右雌夏羽。10と6ど同一個体。2002.6.30北海道根室市にて撮影。

室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
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2010.11.16改