スズメ目セキレイ科ハクセキレイ属
order PROCELLARIIFORMES Family MOTACILLIDAE MOTACILLA

ハクセキレイ(白鶺鴒)Motacilla alba White Wagetail

L21cm W30cm
留鳥又は冬鳥
海岸・河川・畑
【1】夏羽オス。2004.6.10今津田尻農耕地にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX4500。
顔が白く、黒い過眼線があるセキレイ類。
■形態
亜種ハクセキレイ雄夏羽は、頭頂から体上面は黒く、中、大雨覆と次列、三列風切外縁が白い。尾羽は長く、最外側尾羽は白い。顔からの下面は白く、過眼線と腮から胸のかけて黒い斑がある。嘴、足は黒い。冬羽では、喉の黒斑が狭まり、腮は白い。背などが灰色になる。
雌夏羽は、腮は白く胸の黒色斑が小さい。背や肩羽が灰色味が強く、雄冬羽に似る。冬羽では、頭部から背まで灰色になる。
幼鳥は全体に灰色で眉斑が白い。嘴基部は黄色い。
第1回冬羽では眉斑や、顔、喉などに黄色味を帯びる。
亜種ホオジロハクセキレイ雄夏羽は、過眼線がなく、翼は白い中・大雨覆以外は黒い。胸の黒斑の範囲も狭く、喉にはかからない。
亜種タイワンハクセキレイ雄夏羽は、背から腰にかけて、肩羽と小雨覆は灰色で、中・大雨覆は白く、風切は黒い。胸の黒斑は広く、腮の上部まで伸び、嘴に達する。嘴は細く短い。
亜種シベリアハクセキレイ雄夏羽は、亜種ホオジロハクセキレイ同様に過眼線がなく、胸の黒斑も小さいが、背からの上面は灰色。
■特徴
非繁殖期は集団ねぐらを持つ。
■採餌
海岸や河川の下流域、農耕地などで歩きながら昆虫などの小動物を捕らえる。
■繁殖
繁殖期はつがいで縄張りを持つ。産卵期は5〜7月。地上の窪みや石の間、建物の隙間などに、枯れ草で椀型の巣を作り、通常4〜5個産卵する。抱卵日数は12〜13日で、巣立ちまでの日数は約14〜15日。
■鳴き声
繁殖期は「チッチュイ チッチュイ」と少し太めの声で囀る。地鳴きは「チチン チチン」等と聞こえる済んだ声で2音続ける。
■亜種
日本では亜種ハクセキレイ(M.a.lugens)の他、亜種ホオジロハクセキレイ(M.s.leucopsis)、亜種タイワンハクセキレイ(M.s.ocularis)、亜種シベリアハクセキレイ(M.s.baicalensis)、亜種ネパールハクセキレイ(M.s.alboides)、亜種メンガタハクセキレイ(M.s.personata)が観察されている。
亜種ハクセキレイ、亜種ホオジロハクセキレイ、亜種ネパールハクセキレイを合わせて独立種とする説もある。
■備考
現在福岡では一見過眼線がないように見える個体が多く見られる。亜種ホオジロハクセキレイなのか、亜種ハクセキレイなのか、またその交雑なのか不明。
■分布
ユーラシア大陸で広く繁殖し、冬期のアフリカ北部、インド、東南アジアへ渡るものもいる。日本では以前は北日本で繁殖し、本州中部以南で越冬していたが、近年繁殖地の南限が下がっている。
■福岡での事例
福岡では亜種ハクセキレイは冬鳥とされている(日本鳥類目録6版,2000)が、夏でも普通に確認でき、繁殖していている留鳥と思われる。亜種ホオジロハクセキレイも見られるが多くない。亜種タイワンハクセキレイは旅鳥として少数が春秋通過している。
【室見川】河口から最上流までの流域及び周辺で普通。
【今津】河口、湾内、干潟で普通。
【和白】海岸、干潟で普通。
【大濠公園】園内。

【2】冬羽オス。2003.3.28室見川室住団地横にて撮影。Swarovski ATS65HD(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【3】初列が褐色のため第1回夏羽オスか。2002.7.24室見川室住団地横にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【4】冬羽メスか。2002.3.7室見川室住団地横にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【5】幼鳥。2002.6.12室見川吉武にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【6】幼鳥。2005.5.29室見川立花堰にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX4300。

【7】第1回冬羽。嘴や顔に黄色味が残っている。2001.12.19室見川室住団地横にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【8】顔が黄色いので第1回冬羽の個体だが、不明瞭な過眼線があるため、亜種ハクセキレイと思われる。2001.12.1今津田尻農耕地にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【9】第1回冬羽。2001.8.30今津田周船寺川にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【10】過眼線の不明瞭なタイプ。第1回夏羽オス。2010.3.27室見川小田部小横にて撮影。Swarovski ATM 65HD(30×SW)+turobo Adaptar+NICON COOLPIX P6000。

【11】過眼線の不明瞭なタイプ。第1回夏羽に換羽中のメスか?褐色の羽が見える。2011.4.2今津田尻農耕地にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【12】亜種ホオジロハクセキレイ夏羽オス。2001.4.12室見川橋本八幡前にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【13】亜種ホオジロハクセキレイ第1回夏羽オス。褐色の羽が見える。2011.4.2室見川小田部大橋下流にて撮影。Swarovski ATM 65HD(30×SW)+turobo Adaptar+NICON COOLPIX P6000。

【14】亜種タイワンハクセキレイ夏羽。2004.4.18今津元浜農耕地にて撮影。Leica APO-TELEVID77(20-60ZOOM)+NICON COOLPIX990。

【15】亜種タイワンハクセキレイ夏羽。2006.4.1今津田尻農耕地にて撮影。Swarovski ATS 65HD(30×SW)+turobo Adaptar+NICON COOLPIX7900。

室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
※禁無断転載
2011.4.2改