ビロードキンクロ(天鵞絨金黒）Melanitta fusca　Velvet Scoter

釣り上がった目のようにみえる白斑を持つ大型の海ガモ類。

■形態

雄は全体が黒く、目の下に明瞭な三日月状の白斑があり、次列風切が白い。嘴は赤く、先端が黄色で、上嘴基部はコブ状になって黒い。虹彩は白色。足は赤い。

雌は全体が黒褐色で、眼先と耳羽に白斑がある。次列風切は雄同様白い。嘴は黒く、虹彩は褐色。足は赤い。

幼鳥は全体が淡い。雄幼鳥は雌に似るが、嘴に赤い部分がある。

■特徴

貝類等の餌を潜って採るが、3分近くも潜水でき、深さも20m程潜れる。そのため飛ぶよりも潜って難を逃れる事が多い。

■採餌

水深5〜20mの砂地の浅い海に潜って軟体動物(二枚貝類)や甲殻類を捕らえる。

■繁殖

水辺の草むらを押し窪ませ、小枝等を置いあと、自分の羽を敷いて営巣する。通常7〜9個産卵する。

■鳴き声

ほとんど鳴かない。稀に雄は「フィーュ」と言う声を出す。

■亜種

日本に渡来するのは亜種ビロードキンクロ(M.f.stejnegeri)。

■分布

ユーラシアと北米大陸の亜寒帯から寒帯で広く繁殖し、北ヨーロッパ沿岸、カムチャッカから中国東部沿岸、北米西海岸、東海岸で越冬する。日本では冬鳥として九州以北の沿岸に渡来。

■福岡での事例

福岡では少ない冬鳥で11〜3月に外海で見られる。

【室見川】時折河口で観察。

【志賀島】外海で観察されている。