チドリ目カモメ科クロハラアジサシ属
order PROCELLARIIFORMES Family LARIDAE CHLIDONIAS

クロハラアジサシ(黒腹鯵刺)
Chlidonias hybridus Whiskered Tern

L23〜29cm W64〜70cm
旅鳥
干潟・埋立地の水たまり・湖沼
【1】夏羽。2012.6.29今津二つ池にて撮影。
夏羽では頬が白い沼アジサシ類。
■形態
雌雄同色。夏羽では額から後頸が黒く、喉、頬、側頸は白い。背から翼、尾羽までは一様に灰色で、尾羽は短くやや凹型。翼下面は灰色で、初列風切先端が暗色。胸は灰色で、腹が黒く、下腹から下尾筒は白い。嘴と足は暗赤色。
冬羽では額は白くなり、頭頂から後頸はゴマ塩状になる。目の後方も過眼線状の黒色斑になる。背からの体上面は一様に淡灰色になり、体下面も白くなる。嘴は黒くなる。
幼羽は成鳥冬羽に似るが背や肩羽等に、黒い軸斑に褐色の羽縁がある。また、尾羽の先端が暗色。
■特徴
低空飛行から垂直にダイビングして魚を捕らえる他のアジサシ類とは違い、沼アジサシ類はゆるやかに水面に舞い降り昆虫などを啄む。
■鳴き声
繁殖地では「ギュゥク、ギュッ」等の濁った声を出す。
■採餌
水面に舞い降り、主に昆虫類を啄む。
■繁殖
内陸の湖沼や湿地にコロニーを作り、葦の茎等を積み重ねた浮き巣を作る。通常3個産卵し、おもに雌が抱卵する。抱卵日数は18〜21日くらい。雛は数日で泳げるようになる。
■亜種
国際鳥類学会議(IOC)リストでは3亜種認められており、日本に渡来するのはインド、中国等で繁殖する亜種クロハラアジサシ(C.h.javanicus)。
■分布
ヨーロッパ南部から、中央アジア、アフリカ、南アジア、中国東北部、オーストラリアに不連続に繁殖地を持ち、北のものは南下して越冬する。日本には旅鳥とし各地に渡来し、南西諸島では少数が越冬する。
■福岡での事例
福岡では旅鳥で4〜10月頃見られると思われる。
【今津】二つ池周辺、三角池、太郎丸農耕地などで観察。
【室見川】2006.10.4小田部小横の砂州でカモメ類に混じって観察された。

【2】夏羽。2010.8.13今津太郎丸にて撮影。

【3】夏羽。2006.5.27今津二つ池にて撮影。

【4】夏羽。飛翔。2012.6.29今津二つ池にて撮影。

【5】採餌。水中に飛びこまず、水面で啄む。2013.6.12糸島市志登にて撮影。

【6】冬羽へ換羽中。頭部がごま塩状だが、下面に夏羽の黒斑が残る。2016.9.25今津二つ池にて撮影。

【7】冬羽へ換羽中。2016.9.25今津二つ池にて撮影。

【8】冬羽へ換羽中。飛翔。2016.9.25。今津二つ池にて撮影。

【9】幼羽。2016.9.25今津二つ池にて撮影。

【10】幼羽飛翔。9と同じ個体。2016.9.25今津二つ池にて撮影。

【11】第1回冬羽。褐色の幼羽が残っている。2005.3.8熊本県熊本市にて撮影。

室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
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2016.09.28改