スズメ目
PASSERIFORMES
カササギヒタキ科
Monarchidae
サンコウチョウ属
Terpsiphone (Gloger, 1827)

サンコウチョウ(三光鳥)
Terpsiphone atrocaudata (Eyton, 1839)  Japanese Paradise Flycatcher
L♂45cm ♀17.5cm W28cm
夏鳥
平地から低山の薄暗い林
【1】亜種サンコウチョウ、雄。2121.05.09大分県臼杵市にて撮影。
長い尾と、コバルトブルーのアイリングが綺麗な鳥。
■形態
雄は頭部から胸までは紫光沢のある黒で、後頭に短い冠羽がある。背は紫光沢のある褐色で、翼と腰から下は紫光沢のある黒。尾は長く、特に繁殖時には、中央の1対の尾羽が30~34cmにもなる。腹から下は白い。嘴とアイリングはコバルトブルー。足は黒い。
雌は頭部から胸までは灰黒色で、後頭に短い冠羽がある。背は茶褐色で、翼は黒褐色。尾も茶褐色で、繁殖時にも長くならない。又、アイリングも雄より細い。
幼鳥は雌に似るが、嘴やアイリングが暗色。
第1回夏羽雄は中央尾羽が短く、雌と同じくらい。
第2回夏羽雄は中央尾羽の幅が少し細い。
亜種サンコウチョウと亜種リュウキュウサンコウチョウの野外識別は困難。
■鳴き声
地鳴きは「ギィ、ビィ《。囀りは「フィチーヒーチィー ホイホイホイ《等と鳴く。この囀りを「月、日、星、ホイホイホイ《と聞きなされて、三光鳥の吊前が生まれた。
■採餌
木の枝に止まり、空中を飛ぶと虫をフライングキャッチする。
■繁殖
繁殖期は5~6月で、つがいで縄張りを持ち、周りに葉のない枝の又にカップ状の巣を作る。巣はスギやヒノキの樹皮を主な材料にして、外側にウメノキゴケをクモの糸で貼り付ける。通常4~5個産卵し、抱卵日数は約12~14日、巣立ちまでは約12~14日。
■亜種
3亜種ある。
朝鮮半島中部化と南部、日本、台湾で繁殖する亜種サンコウチョウ(T.a.atrocaudata)、琉球列島で繁殖する亜種リュウキュウサンコウチョウ(T.a.illex)、蘭嶼とバタン島で繁殖する亜種T.a.periophthalmica
■分布
本州から台湾、フィリピンにかけて繁殖し、インドシナ半島、スマトラ島で越冬する。
日本には本州以南に夏鳥として渡来し、本州から屋久島に亜種サンコウチョウが、奄美大島以南の南西諸島には亜種リュウキュウサンコウチョウが繁殖する。
■福岡での事例
福岡では夏鳥として渡来し、低山や丘陵地で繁殖している。
【室見川】2017年05月20日野河内で上流で観察。
【西部霊園公園】2005年06月20日に観察。
【小呂島】2011年05月07日に観察。
【油山】2020年05月23日市民の森で記録がある。
【新宮町】2006年05月08日相島で観察。
【太宰府市】2010年07月24日内山で繁殖記録があり、2021年05月02日観世音寺で記録がある。
【古賀市】2011年06月14日薬王寺で記録がある。
【福津市】2016年04月29日渡で記録がある。

【2】亜種サンコウチョウ、雄。2121.05.09大分県臼杵市にて撮影。

【3】亜種サンコウチョウ、雄。2121.05.09大分県臼杵市にて撮影。

【4】飛翔。亜種サンコウチョウ、雄。2121.05.09大分県臼杵市にて撮影。

【5】亜種サンコウチョウ。巣に止まる雄。尾は短いが、アイリングの幅や、繁殖状態から雄と思われる個体。2004.06.14熊本県熊本市にて撮影。

【6】亜種サンコウチョウ。雌。2019.05.08鹿児島県阿久根市にて撮影。

【7】亜種サンコウチョウ。雌。2004.06.14熊本県熊本市にて撮影。

【8】亜種サンコウチョウ。雌。2021.08.31鹿児島県薩摩川内市にて撮影。

【9】亜種サンコウチョウ。幼鳥。2021.07.28大分県佐伯市にて撮影。

【10】亜種サンコウチョウ。幼鳥。2021.07.28大分県佐伯市にて撮影。

【11】亜種サンコウチョウ。第1回夏羽雄。2025.05.26熊本県阿蘇市、波野にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2025/06/16作成