- 梢の先でさえずる全身茶色のホオジロ類。
- ■形態
- 雄夏羽では過眼線から耳羽、顎線は黒く、額から後頸は茶褐色。眉斑、頬、喉、上胸は白く、頸は灰色。翼は黒褐色で羽縁は茶褐色。腰、上尾筒は茶色。尾は長く、外側2枚に白斑があり、飛ぶと目立つ。胸から下は茶色で、胸には黒い斑がある。下尾筒は白い。嘴は灰色。
冬羽では胸の黒色斑がなくなる。
雌は、全体的に色が淡く、過眼線から耳羽、顎線は茶褐色。眉斑、頬、喉は淡褐色。
- ■鳴き声
- 囀りは「チョッピーチチロ、ピピロビィー《等で、「一筆啓上、仕り候《や「源平つつじ、茶つつじ《と聞きなされる。地鳴きは「ツツッ、ツツッ《で2回続けて鳴くことが多い。
- ■行動
- 冬期も成鳥は縄張りに留まるものが多いが、北方から渡ってきた個体や若鳥などは小群で行動する。
- ■採餌
- 地上をはね歩き、イネ科の椊物の実などを拾って食べる。
- ■繁殖
- 産卵期は4~7月。繁殖期はつがいで縄張りを持ち、低木の枝の上、又は地上にイネ科の椊物の茎、細根で椀型の巣を作る。通常3~5個産卵し、抱卵期間は約11日で、巣立ちまでも約11日。
- ■吊前の由来
- 奈良時代からアオジなどと一緒に「しとと《と呼ばれ、室町時代に頬が白いことから「ほほじろ《又は「ほじろ《として区別されるようになった。
- ■亜種
- 4亜種ある。
カザフスタン東部、キルギスタン、新疆(中国西部)で繁殖する亜種E.c.tarbagataica、 シベリア南中央部及びトランスバイカル(ロシア東部)、モンゴル及び青海省(中国北中央部)で繁殖する亜種E.c.cioides、 アムール及びウスリー(ロシア南東部)、朝鮮半島北部及び中国北東部で繁殖する亜種E.c.weigoldi、 河北省以南の中国東部および朝鮮半島南部で繁殖する亜種E.c.castaneiceps、 樺太及び千島列島及び北海道から屋久島で繁殖する亜種ホオジロ(E.c.ciopsisv)。
- ■分布
- カザフスタン東部からシベリア南部、中国北部、朝鮮半島、樺太、千島列島、日本に分布。
日本では亜種ホオジロが屋久島以北で繁殖し留鳥、北海道では夏鳥。
- ■福岡での事例
- 福岡では留鳥として平地から山地の農耕地などで普通に見られる。1989年福岡市の野山の鳥に選定されている。
【室見川】2000年9月曲渕ダムパークで観察以降、流域で普通に観察するも、外環室見橋より下流ではほとんど見られない。
【今津】2000年10月田尻水門近くで観察以降周辺で普通に見られる。
【和白】2000年12月に唐の原川で観察。
【玄海島】2019年5月に記録がある。
【糸島市】2001年11月篠原で観察以降農耕地などで普通に見られる。
【新宮町】2001年5月相島で観察。
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