カモ目
ANSERIFORMES
カモ科
Anatidae
シノリガモ属
Histrionicus (Lesson, RP, 1828)

シノリガモ(晨鴨)
Histrionicus histrionicus (Linnaeus, 1758)  Harlequin Duck
L38~45cm W63~69cm
10~3月
山間の渓流・外洋の岩礁海岸
【1】雄。2005.11.30長崎県対馬市、佐護にて撮影。
全身黒味がかった青色の地に、白や赤茶色の複雑な模様が入った海ガモ類。
■形態
雄全身が青色光沢のある黒で、額から後頭が黒く、それに沿って目先に白斑があり、目の上から後方では赤褐色。耳羽に丸い白斑があり、その後に縦に白斑がある。前頸に白い帯状の斑がある。背からの上面も黒く、三列風切、肩羽にも白斑があり、大雨覆に白斑がある。翼は黒く、次列風切内側は青色光沢があり、大雨覆の内側が白い。尾は長い。側胸に白斑があり、脇は赤褐色。下尾筒脇に白斑がある。嘴は灰色で先端に行くほど淡くなる。脚は青黒色。
エクリプスでは雌に似るが、顔の白斑は雄繁殖羽と同じで、三列風切も白い。 雌は全身黒褐色で、目先の上下、耳羽の3箇所に白斑がある。翼も全面黒褐色。
幼羽や早期の第1回冬羽は雌に似る。雄の第1回冬羽は雄エクリプスに似るが、三列風切に白斑がない。
■鳴き声
繁殖地では、雄は「コーコーコー《「ガッガッガッ《等大きな声で鳴き、雌は「コア コア コア《等低い声で鳴く。越冬地では鳴き声を聞くことは殆どない。
■採餌
越冬地では浅い海に潜り、魚類、甲殻類、貝類などの動物質を食す。繁殖地では山間の渓流に生息し、水棲昆虫などを食す。
■繁殖
日本では巨木のある落葉広葉樹林の渓流沿いの岩陰に、羽毛を敷いて営巣する。
■吊前の由来
江戸時代中期から「をきのけんてう《の吊前で知られ、江戸時代後期より「しのりがも《と呼ばれるようになった。
■亜種
亜種はない。
■分布
シベリア北東部、チュトコ、カムチャッカ及ぶサハリン半島、千島列島、北海道および本州北部、アリューシャン列島、アラスカ、カナダ西部、太平洋岸北西部及びロッキーマウント州北部、カナダ北東部、グリーンランド南部及びアイスランドで繁殖。
北太平洋西中央、東中央部から北大西洋西中央部の海岸で越冬する。
日本では北海道、東北地方で繁殖し、冬季は本州中部以北および九州北部で越冬する。
■福岡での事例
福岡では少ない冬鳥で、11~3月頃見られる。
【海の中道】2005年2月にシオヤ瀬で観察。定期的越冬地の南限。
【今津】2024年1月に宝島で観察。
【志賀島】2018年1月東岸海上で記録がある。
【糸島市】2011年1月に野北桜井川河口にて観察。
【新宮町】2017年2月相島にて記録がある。
【福津市】2015年2月津屋崎にて記録がある。
【宗像市】2020年1月地島にて記録がある。

【2】雄。2024.02.02福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【3】雄。2024.02.02福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【4】雄。2024.02.02福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【5】雄。2007.02.02北海道えりも町、庶野漁港にて撮影。

【6】雄。雨覆に白斑があり、三列風切が白い。2023.01.26福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【7】雄。翼下面は一様に暗色。2023.01.26福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【8】雌。2007.02.02北海道えりも町、庶野漁港にて撮影。

【9】雌。2007.02.02北海道えりも町、庶野漁港にて撮影。

【10】雄第1回冬羽(早期)。目の上に白線が伸び、側頸に白線がある。2007.02.02北海道えりも町、庶野漁港にて撮影。

【11】雄第1回冬羽(早期)。2011.01.20福岡県糸島市野北漁港にて撮影。

【12】雄第1回冬羽(早期)。2024.02.02福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【13】雄第1回冬羽。頬の白斑の下や胸などにも白斑があるのでオス、三列風切に白斑がないので、エクリプスではなく、若い個体と思われる。2007.02.02北海道えりも町、庶野漁港にて撮影。

【14】潜水してカニを獲っていた。雄第1回冬羽(早期)。2024.01.26福岡県福岡市、今津宝島にて撮影。

【15】群れ。右上後ろ向きの褐色の個体は雄第1回冬羽。鳥。2005.02.22福岡県福岡市、シオヤ瀬にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2024/04/29作成