カモ目
ANSERIFORMES
カモ科
Anatidae
ハクチョウ属
Cygnus (Garsault, 1764)

コハクチョウ(小白鳥)
Cygnus columbianus (Ord, 1815)  Tundra Swan
L115~150cm・W180~225cm
冬鳥
湖沼・内湾・農耕地・河川
【1】2011.11.24福岡県福岡市、今津工場裏にて撮影。
長い首を伸して優雅に飛ぶ白くて大きい白鳥。
■形態
雌雄同色。
全体が白いが、頭部や頸部に黄褐色身を帯びた個体もいる。嘴は全体が黒く、上基部が黄色。黄色部は嘴の半分以下で、先端の形状は四角か丸で、三角形に尖っていない。脚は黒い。
幼鳥は全身が灰褐色。嘴の基部はピンク色味を帯びた白色で、徐々に黄色くなる。
亜種アメリカコハクチョウは少し体が大きく、嘴の黄色い部分が小さく、殆ど黒い。
■鳴き声
大きな声で「コォー《と鳴き交わすが、「コホッコホッ《と短く鳴く事も多い。
■行動
つがいとその幼鳥の家族単位で行動し、その集合で大きな群れを作る。
■採餌
水草を主に食べる。
■繁殖
湖の浅瀬や水辺の地上に枯草や藻類で円錐形の大きな巣を作る。通常3~5個産卵する。抱卵日数は29~30日。
■備考
オオハクチョウは上嘴の黄色部が広く、先端が三角形に尖っている
■吊前の由来
奈良時代からオオハクチョウと共に「くぐひ《の吊前で知られ、「しらとり《「おほとり《「たづ《とも呼ばれ、安土桃山時代から「はくてう《と呼ばれるようになった。日葡辞書には「くぐひ《「はくちょう《の両方が掲載されている
明治以降「オオハクチョウ《と分かれて「ハクチョウ《と呼ばれていたが、1974年発行の日本鳥類目録第5版より、他のハクチョウ類と区別するために「コハクチョウ《となった。
■亜種
2亜種ある。 アラスカおよびカナダ北部で繁殖する亜種アメリカコハクチョウ(C.c.columbianus)、 ユーラシア大陸北部で繁殖する亜種コハクチョウ(C.c.bewickii)。
■分類問題
日本鳥類目録7版では亜種コハクチョウを分布域の東西で分けて、ユーロッパ側の個体群をC.c.jankowskyi、アジア側の個体群を亜種コハクチョウ(C.c.jankowskyi)としていた。
■分布
ユーラシア大陸北部、北アメリカ北部で繁殖し、ヨーロッパ西部、カスピ海周辺、中国東部、朝鮮半島、北アメリカ中部で越冬。
日本には本州以北に亜種コハクチョウが冬鳥として渡来する他、亜種アメリカコハクチョウも少数見られる。
■福岡での事例
福岡では迷鳥、稀な冬鳥として冬季に観察される。
【今津】2001年11月太郎丸にて観察。2011年11月、2012年11月、2013年10月河口、2017年11月、2020年10月、2022年11月などにも河口および周辺で観察および記録がある。
【和白】2018年2月干潟で記録がある。
【糸島市】2011年12月〜2012年1月泊で観察、2013年10月志摩小富士鴨池で記録がある。
【福津市】2010年11月津屋崎で記録がある。

【2】2008.11.20福岡県福岡市、今津干潟にて撮影。

【3】2002.01.12鳥取県米子市、水鳥公園にて撮影。

【4】2001.11.18福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【5】2008.11.20福岡県福岡市、今津干潟にて撮影。

【6】亜種アメリカコハクチョウ。2009.1.15島根県松江市にて撮影。

【7】脚は黒い。2002.01.12鳥取県、米子水鳥公園にて撮影。

【8】嘴の黄色は先端が尖らない。2001.11.17福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【9】飛翔。2008.12.01島根県出雲市、斐伊川にて撮影。

【10】幼鳥。2002.01.12鳥取県米子市、米子水鳥公園にて撮影。

【11】幼鳥。2008.12.01島根県出雲市、斐伊川にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2024/04/28作成