カモ目
ANSERIFORMES
カモ科
Anatidae
マガモ属
Anas (Linnaeus, 1758)

コガモ(小鴨)
Anas crecca Linnaeus, 1758  Eurasian Teal
L34~38cmW58~64cm
冬鳥
湖沼・河川・干潟
【1】雄。2003.02.13福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。
頭が茶色で目の周囲から後ろが緑色の小型の淡水ガモ。
■形態
雄は頭部が栗色で、目の周囲から後頸にかけては暗緑色。嘴基部や、顔の暗緑色と栗色の境に淡色の線がある。体全体は白と黒の細かい模様で灰色に見える。翼は初列風切、雨覆が暗褐色。大雨覆や中雨覆は灰色味がある。肩羽の外縁が白い為、静止時体に水平な白い線となって見える。翼鏡は緑色で、大雨覆の羽先と次列風切の2本の白線に挟まれる。胸は白っぽく、下尾筒は黒い。下尾筒の両側は淡黄色の三角形の斑がある。嘴は黒く、脚は黒い。
雌は全身褐色で、黒褐色の斑がある。顔に目立つ斑がなく、下尾筒の両脇に白線がある。嘴基部に黄色みがある。
雄エクリプスは雌に似るが、顔が暗色で、嘴基部に黄色みはない。
■鳴き声
雄は「ピリッピリッ《と笛のような声で鳴き、雌は「グェークェッグェッ《と鳴く。
■行動
開けた水面より、入江などの奥まったところを好む。
■採餌
枯草をしごいたり、泥水を啄んだりして、イネ科の椊物等の草の小さい実を食べる。
■繁殖
山間の湖沼周辺の草むらの地上に営巣する。
■吊前の由来
奈良時代から「たかべ《の吊で知られ、江戸時代に小さいカモの意で「こがも《と呼ばれるようになる。コガモの脂で刀を拭えば錆びないと刀鴨とも漢字表記された。
■亜種
亜種はない。
■分類問題
日本鳥類目録7版では、アメリカコガモ(Anas.carolinensis)をコガモの亜種アメリカコガモ(A.c.carolinensis)としている。
■分布
ユーラシア大陸北部で広く繁殖する。
日本では北海道などで一部繁殖するが、ほとんどは冬鳥として渡来する。
■福岡での事例
福岡では冬鳥で、10~4月頃。
【室見川】新室見橋から井田尻大橋にかけて。
【今津】河口や周辺の池。
【和白】干潟やクリーク。

【2】雄エクリプス。2002.10.03福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【3】右雄エクリプスと左雌。嘴基部の色に注意。2002.11.11福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【4】雄エクリプスから換羽中。頭部の栗色、脇腹の白黒の縞模様など繁殖羽が見える。2002.10.23福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【5】雄エクリプスから換羽中。ほぼ換羽が終わり、雨覆にエクリプス羽が残っているのが分かる。2002.11.05福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【6】雄。2003.02.13福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【7】雌。2003.02.13福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2024/04/29作成