カモ目
ANSERIFORMES
カモ科
Anatidae
マガン属
Anser (Brisson, 1760)

ヒシクイ(菱喰)
Anser serrirostris Gould, 1852  Tundra Bean Goose
L78~100cm W142~175cm
冬鳥
湖沼・農耕地
【1】亜種ヒシクイ。2007.05.13福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
黒い嘴の先に黄橙色の模様がある、大形のガン類。
■形態
雌雄同色。
頭部からの上面が暗褐色で、背や翼に淡色の羽縁がある。上尾筒は白く、尾は黒色で最外側尾羽と先端は白い。
嘴は黒く、先の方が黄橙色で、先端が黒。胸から脇にかけては暗褐色で、側胸から脇にかけては淡色羽縁がある。腹からの下面は白い。脚は橙色。
亜種オオヒシクイは嘴の薄くて長く体も大きく、亜種ヒシクイは嘴が太くて短く体も小さい。
■鳴き声
亜種オオヒシクイは太く低い声で「ガハハハーン《と鳴き、亜種ヒシクイはやや高めの声で「ギャハハーン《と鳴く。
■採餌
地上を歩きながら草の実などを食べるが、吊前通りヒシの実も好んで食べる。
■亜種
2亜種ある。 ロシア北部およびシベリア北西部で繁殖する亜種A.s.rossicus、 シベリア北東部で繁殖する亜種ヒシクイ(A.s.serrirostris)。
■分類問題
国際鳥類学会(IOC)では亜種オオヒシクイ(A.f.middendorffi)、亜種ヒメヒシクイ(A.f.curtus)を認めておらず、亜種ロシアヒシクイ(A.s.rossicus)に含めているものと思われる。
■分布
ユーラシア大陸の亜寒帯から寒帯で繁殖する。
日本では冬鳥として本州を中心に渡来し、宮城県伊豆沼、新潟県福島潟、石川県片野鴨池、琵琶湖などで越冬する。亜種ヒシクイは渡来数の2割ほどといわれる。
■福岡での事例
福岡では少ない冬鳥。
【今津】亜種ヒシクイは2000年12月〜2001年1月、2007年4月〜5月、2008年1月に5羽、2021年11~22年3月などに田尻や河口で観察、2020年12月太郎丸で記録がある。亜種オオヒシクイは2009年1月に田尻、2011年1〜3月九大キャンパスで観察、2016年1月に瑞梅寺川河口で記録がある。
【糸島市】亜種ヒシクイは2016年10月泊大塚で18羽の群を観察。亜種オオヒシクイは2014年1月神在で記録がある。
【福津市】2009年10月津屋崎で亜種オオヒシクイの記録がある。
【宗像市】2017年10月曲で亜種オオヒシクイの記録がある。

【2】亜種ヒシクイ。2001.11.08福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【3】亜種ヒシクイ。2016.02.10福岡県糸島市、泊大塚にて撮影。

【4】亜種オオヒシクイ。2009.01.07福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【5】亜種オオヒシクイ。2011.03.01福岡県福岡市、九大伊都キャンパスにて撮影。

【6】亜種オオヒシクイ。2011.03.01福岡県福岡市、九大伊都キャンパスにて撮影。

【7】亜種オオヒシクイ。2008.02.01沖縄県豊見城村にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2024/04/28作成