カモ目
ANSERIFORMES
カモ科
Anatidae
クロガモ属
Melanitta (Boie, F, 1822)

ビロードキンクロ(天鵞絨金黒)
Melanitta stejnegeri (Ridgway, 1887)  Stejneger's Scoter
L51~58m・ W90~99cm
冬鳥
海上・内湾
【1】雄第1回冬羽。嘴先端にピンク部がある。2023.01.05福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。
釣り上がった目のようにみえる白斑を持つ大型の海ガモ類。
■形態
雄は全体が黒く、目の下に明瞭な三日月状の白斑があり、次列風切が白い。嘴は赤く、先端が黄色で、上嘴基部はコブ状になって黒い。虹彩は白色。足は赤い。
雌は全体が黒褐色で、眼先と耳羽に白斑がある。次列風切は雄同様白い。嘴は黒く、虹彩は褐色。足は赤い。
幼鳥は全体が淡い。雄幼鳥は雌に似るが、嘴に赤い部分がある。
■鳴き声
ほとんど鳴かない。稀に雄は「フィーュ《と言う声を出す。
■行動
貝類等の餌を潜って採るが、3分近くも潜水でき、深さも20m程潜れる。そのため飛ぶよりも潜って難を逃れる事が多い。
■採餌
水深5~20mの砂地の浅い海に潜って、軟体動物(二枚貝類)や甲殻類を採る。
■繁殖
水辺の草むらを押し窪ませ、小枝等を置いあと、自分の羽を敷いて営巣する。通常7~9個産卵する。
■吊前の由来
奈良時代からクロガモとともに「くろがも《「くろどり《と呼ばれていたと思われ、江戸時代に羽の色が黒色のビロードのように見えることから「びろどきんくろ《「びろうどきんくろ《と呼び区別された。因みに「きんくろ《はキンクロハジロのように羽に白いところがある鴨と言う事と思われるが、虹彩は白く「きん《にあたるところはない。
■亜種
亜種はない。
■分類問題
日本鳥類目録第7版まではヨーロッパビロードキンクロ(Melanitta fusca)の亜種とされていたが、アメリカビロードキンクロ(Melanitta deglandi)と共に独立種になった。
■分布
エニセイ盆地からカムチャッカ(シベリア中央、東部)、カザフスタン北東部及びモンゴル北、西部で繁殖し、千島列島からコマンダー諸島、日本沿岸及び朝鮮半島(太平洋北西部)で越冬する。
日本では冬鳥として九州以北の沿岸に渡来。
■福岡での事例
福岡では少ない冬鳥で11~3月に外海で見られる。
【室見川】2001年12月、2006年2月、2010年11月、2012年1月、2015年12月、2023年1月など河口で観察。
【今津】2019年12月に二つ池で観察した。
【志賀島】シオヤ鼻で2004年3月、2005年2月、2006年1月に観察、2019年12月にも記録がある。
【福津市】2017年2月津屋崎で記録がある。
【宗像市】2017年3月に記録がある。

【2】雄第1回冬羽。嘴先端にピンク部がある。2023.01.05福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【3】雄第1回冬羽。嘴先端にピンク部がある。2023.01.05福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【4】雄第1回冬羽。腹は淡色。2023.01.05福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【5】雄第1回冬羽。次列風切などの白色部が目立つ。2023.01.05福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【6】雌。2019.12.14福岡県福岡市、今津二つ池にて撮影。

【7】雌。2019.12.14福岡県福岡市、今津二つ池にて撮影。

【8】雌。2019.12.14福岡県福岡市、今津二つ池にて撮影。

【9】雌第1回冬羽。頭部は換羽進み白い部分がない。2015.12.29福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【10】雌第1回冬羽。頭部は換羽進み白い部分がない。2015.12.29福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。

【11】雌第1回冬羽。頭部は換羽進み白い部分がない。2015.12.29福岡県福岡市、室見川河口にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2024/04/29作成