カイツブリ目
PODICIPEDIFORMES
カイツブリ科
Podicipedidae
カイツブリ属
Tachybaptus (Reichenbach, 1853)

カイツブリ(鳰)
Tachybaptus ruficollis (Pallas, 1764)  Little Grebe
L25〜29cm W40〜45cm
留鳥
湖沼・河川
【1】夏羽。2005.06.07福岡県福岡市、西部霊園公園にて撮影。
「キリッキリッキリッ」と良く通る声で鳴く、カイツブリ類。
■形態
雌雄同色。
夏羽では額から頭頂、背からの上面が黒褐色で、顔、喉、前頸、横頸が赤褐色。胸から下尾筒は淡褐色。太くて短い嘴は黒く、基部が黄白色。虹彩も黄白色。水かきのある足は黒い。
冬羽では全体に淡くなり、顔などの赤褐色部の赤みがなくなり、嘴基部の黄白色部も目立たなくなる。
雛は全身が黒褐色で、頭部から胸に白い筋模様があり、嘴は短くピンク色。アイリングもピンク。
幼鳥は顔などに筋模様が残る。嘴が伸び、虹彩も褐色。
第一回冬羽は成鳥冬羽に似るが、全体により淡色で、嘴も淡い。
■鳴き声
繁殖期には「キリッキリッキリッ、キリリリリ」と言った高い声で鳴いて縄張りを宣言する。「ピッピッ」「フィリリリ」等とも鳴く。
■行動
危険を感じると潜水して、遠く離れた水草の中などに逃げるが、水面を駆けるようにして逃げることもある。
■採餌
潜水して魚や、水棲昆虫、水草などを食べる。潜水時間は最長25秒ほど。
■繁殖
繁殖期は長い。水面に水草で浮き巣を作り、普通3〜6個産卵する。抱卵日数は20〜25日。雛は孵化後すぐに泳ぐことが出来る。
■亜種
7亜種あり、ヨーロッパからウラル山脈及びアフリカ北西部で繁殖する亜種T.r.ruficollis、 コーカサスからミャンマー及びスリランカで繁殖する亜種T.r.albescens、 イラク、イラン南西部で繁殖する亜種T.r.iraquensis、 サハラより南のアフリカ、マダガスカルで繁殖する亜種T.r.capensis、 アジア北東部から南西部、千島列島、日本、台湾で繁殖する亜種カイツブリ(T.r.poggei)、 ミンダナオを除くフィリピンで繁殖する亜種T.r.philippensis、 ミンダナオで繁殖する亜種T.r.cotabato
日本鳥類目録第7版では大東諸島の個体群を亜種ダイトウカイツブリ(T.r.kunikyonis)としている。
■分布
ユーラシア大陸、アフリカの温帯に棲息。
日本でも全国で繁殖するが、北のものは冬に暖地で越冬する。
■福岡での事例
福岡でも留鳥で、一年中見られる。
【室見川】河口から曲渕ダムまでの全流域で普通にみられる。
【今津】河口及び周辺の池で普通にみられる。
【和白】塩浜のクリーク。
【大濠公園】園内の池。

【2】夏羽。2003.03.28福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【3】交尾。2010.04.18福岡県福岡市、室見川新室見橋にて撮影。

【4】巣。2001.07.14鹿児島県南さつま市、大浦干拓にて撮影。

【5】冬羽。2003.03.09福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。

【6】雛。2019.08.02宮崎県宮崎市、蓮ヶ池公園にて撮影。

【7】雛に給餌。2019.08.02宮崎県宮崎市、蓮ヶ池公園にて撮影。

【8】幼羽。嘴は長くなっているが、まだ頭部に雛の模様が残る。2003.08.06千葉県習志野市、谷津干潟にて撮影。

【9】第1回冬羽。2005.11.22福岡県福岡市、室見川小田部小学校横にて撮影。

【10】第1回冬羽。幼羽。2001.10.10福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【11】飛翔。次列風切から三列風切の後縁は白い。2016.03.26福岡県福岡市、室見川室住団地横にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
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2020/11/09作成