- オレンジ色の嘴の基部に白い突起がある大型の海鳥
- ■形態
- 雌雄同色。
夏羽では頭部からの上面は黒褐色で、目の後方、口角近くに白い髭状の長い飾り羽がある。太い嘴は橙色で嘴峰は黒く、基部に灰白色の角のような突起がある。虹彩は淡黄色。頬から胸、脇は灰褐色で、腹から下尾筒は白い。脚は太く短く、黄色い。
冬羽では白い飾り羽も取れ、嘴の突起も小さくなり、橙色味も鈊くなる。
幼鳥は冬羽に似るが、嘴は短く、鈊い暗色。
- ■鳴き声
- 日中はほとんど鳴かない。巣穴などで「ウォッ ウォー《「クワークワークワー《などと鳴く。
- ■行動
- 岸から数km程の海上で行動する、沿岸性の海鳥。繁殖期は夜明け前に島を飛び出し、昼間は海上で採餌し、夕方島近くの海面に集まり、暗くなって巣に戻る。
- ■採餌
- 海に潜って、魚、イカなどを獲る。
- ■繁殖
- 産卵期は4~6月で、コロニーを作って繁殖する。草地に直径15cm、深さ2m程の穴を掘り、枯れ草を敷いて造巣する。通常1個産卵し、放卵日数は30日。
- ■備考
- 能の「善知鳥(うとう)《では、親鳥が「ウトウ《と鳴き、雛が「ヤスカタ《と応えるとされている。
- ■吊前の由来
- 鎌倉時代より「うとう《として知られ、「やすかた《の異吊もある。また能に「善知鳥(うとう)《の演目もある。ウトウが穴の中で子育てをすることから、洞穴の意味の「うとう《となったという説がある。
英語吊のRhinoceros(動物のサイ)は嘴の突起からついたものと思われる。
- ■亜種
- 亜種はない。
- ■分布
- 樺太と千島列島、北海道、本州北部 、アリューシャン列島、アラスカ南、南東部からカリフォルニア南部の温帯北太平洋沿岸で繁殖し、冬季は日本南部、朝鮮半島及びバハ・カリフォルニア州北部までの北太平洋沿岸へ南下する。
日本では北海道、東北北部で留鳥として繁殖し、冬季は九州以北へ冬鳥として渡来する。
- ■福岡での事例
- 少ない冬鳥として海上で観察されている。
【福津市】2010年2月に津屋崎で記録がある。
【玄海島】2014年4月に記録がある。
【糸島市】2015年3月に芥屋で記録がある。
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