- 眼の周りの白い勾玉状のアイリングが特徴的な、一婦多夫制のシギ類。
- ■形態
- 雄は頭部からの上面及び胸は灰褐色で、雨覆に淡黄色の丸い斑が並ぶ。黄褐色の明瞭な頭央線があり、眼の周りに勾玉状の黄色味のある白いアイリングがある。胸から側胸にかけて白いV字線がある。腹から下尾筒は白い。嘴は淡紅色で長く、先端付近で下に曲る。足は黄緑。
雌は顔から上胸が赤褐色で、下胸は黒褐色。体上面は褐色味のある暗緑色。アイリングも黄色味がなく白い。
- ■鳴き声
- 雌はテリトリーを宣言するため、夕方から夜にかけて「コォー コォー《と鳴く。
- ■行動
- タマシギは一婦多夫制で、雄より雌の方が色彩が派手。雄が抱卵、子育てをする。
- ■採餌
- 動きは緩慢で、湿地を歩きながらミミズ等の小動物や草のみ等を食べる。
- ■繁殖
- 雌が縄張りを持ち、その中の雄は湿地などの草の株の中に、草を積んで皿形の巣を作る。雌は通常4個産卵すると、巣を離れて、他の雄とつがいになる。雄は19日程度抱卵し、孵化した雛は半日位で巣を離れ、雄について行動する。
- ■吊前の由来
- 江戸時代には「はまだら《「はまだらしぎ《「しましぎ《などと呼ばれていた。
一婦多夫制の習性から、男を手玉にとる多情な女性「いい玉《から来たという説や、目の周囲の模様が勾玉に似ているという説もある。
- ■亜種
- 亜種はない。
- ■分類問題
- 日本鳥類目録第7版ではオーストラリアタマシギ(Rostratula australis)と一緒に種タマシギとしており、日本に分布するのは亜種タマシギ(R.b.benghalensis)としている。
- ■分布
- アフリカとマダガスカル。 インダス渓谷(パキスタン中央部)から中国南部、日本、フィリピン、小スンダ列島に分布する。
日本では北陸、関東地方以南で繁殖し留鳥。
- ■福岡での事例
- 福岡では留鳥だが、冬期の確認は少ない。近年数が減っているものと思われる。
【今津】田尻、太郎丸、元浜、工場裏などで観察。
【糸島市】2005年7月に深江一貴山川河口左岸で観察。
【古賀市】2014年6月に筵内で記録がある。
【福津市】2015年5月に上西郷で記録がある。
【筑紫野】2017年1月に岡田にて記録がある。
【粕屋町】2019年6月に仲原で記録がある。
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