チドリ目
CHARADRIIFORMES
タマシギ科
Rostratulidae
タマシギ属
Rostratula (Vieillot, 1816)

タマシギ(鷸)
Rostratula benghalensis (Linnaeus, 1758)  Greater Painted-snipe
L23~28cm W50~55cm
留鳥
水田・湿地・河川の岸
【1】雌。2001.09.06福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
眼の周りの白い勾玉状のアイリングが特徴的な、一婦多夫制のシギ類。
■形態
雄は頭部からの上面及び胸は灰褐色で、雨覆に淡黄色の丸い斑が並ぶ。黄褐色の明瞭な頭央線があり、眼の周りに勾玉状の黄色味のある白いアイリングがある。胸から側胸にかけて白いV字線がある。腹から下尾筒は白い。嘴は淡紅色で長く、先端付近で下に曲る。足は黄緑。
雌は顔から上胸が赤褐色で、下胸は黒褐色。体上面は褐色味のある暗緑色。アイリングも黄色味がなく白い。
■鳴き声
雌はテリトリーを宣言するため、夕方から夜にかけて「コォー コォー《と鳴く。
■行動
タマシギは一婦多夫制で、雄より雌の方が色彩が派手。雄が抱卵、子育てをする。
■採餌
動きは緩慢で、湿地を歩きながらミミズ等の小動物や草のみ等を食べる。
■繁殖
雌が縄張りを持ち、その中の雄は湿地などの草の株の中に、草を積んで皿形の巣を作る。雌は通常4個産卵すると、巣を離れて、他の雄とつがいになる。雄は19日程度抱卵し、孵化した雛は半日位で巣を離れ、雄について行動する。
■吊前の由来
江戸時代には「はまだら《「はまだらしぎ《「しましぎ《などと呼ばれていた。
一婦多夫制の習性から、男を手玉にとる多情な女性「いい玉《から来たという説や、目の周囲の模様が勾玉に似ているという説もある。
■亜種
亜種はない。
■分類問題
日本鳥類目録第7版ではオーストラリアタマシギ(Rostratula australis)と一緒に種タマシギとしており、日本に分布するのは亜種タマシギ(R.b.benghalensis)としている。
■分布
アフリカとマダガスカル。 インダス渓谷(パキスタン中央部)から中国南部、日本、フィリピン、小スンダ列島に分布する。
日本では北陸、関東地方以南で繁殖し留鳥。
■福岡での事例
福岡では留鳥だが、冬期の確認は少ない。近年数が減っているものと思われる。
【今津】田尻、太郎丸、元浜、工場裏などで観察。
【糸島市】2005年7月に深江一貴山川河口左岸で観察。
【古賀市】2014年6月に筵内で記録がある。
【福津市】2015年5月に上西郷で記録がある。
【筑紫野】2017年1月に岡田にて記録がある。
【粕屋町】2019年6月に仲原で記録がある。

【2】雌。2020.08.21福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【3】雌。2001.09.06福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【4】雌。2003.08.17福岡県福岡市、今津元浜にて撮影。

【5】飛翔。雌。2009.06.03福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【6】雌。2001.09.06福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【7】雌。2001.09.06福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【8】産卵する雌。2002.09.03福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【9】卵。2020.08.22福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【10】抱卵する雄。2003.09.14福岡県福岡市、今津元浜にて撮影。

【11】巣内の雌雄。2003.09.05福岡県福岡市、今津元浜にて撮影。

【12】雄と雛。2001.08.20福岡県福岡市、今津周船寺川右岸にて撮影。

【13】雄と幼羽が生えだした雛。2001.09.08福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【14】雛。2001.09.08福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。

【15】幼鳥。2003.08.17福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2020/08/22作成