チドリ目
CHARADRIIFORMES
シギ科
Scolopacidae
オグロシギ属
Limosa (Brisson, 1760)

オオソリハシシギ(大反嘴鴫)
Limosa lapponica (Linnaeus, 1758)  Bar-tailed Godwit
L37~41cm W70~80cm
旅鳥
干潟、河口、干拓地
【1】雄夏羽。2023.04.08福岡県福岡市、室見川室見新橋下流にて撮影。
長く上に反った嘴を持つ大型のシギ類。
■形態
雌雄ほぼ同色。
雄夏羽では頭部から下面が赤褐色で、額から後頚に黒褐色の縦班があり、薄く黒褐色の過眼線がある。上面は黒褐色の軸班に白や赤褐色の羽縁がある。初列風切先端部は黒く、静止時黒く見える。腰から尾羽は白く、黒褐色の横班がある。下面は赤褐色。嘴は黒く、長くて上に反っていて、基部はピンク色。夏羽では基部も黒くなる傾向がある。虹彩も暗色。脚は黒く長い。
翼下面は亜種によって違い、亜種オオソリハシシギは黒褐色の斑があ、亜種コシジロオオソリハシシギは白い。
冬羽では全体から赤みがなくなり、白い眉班が目立つ。上面は灰褐色で、黒く細い軸班が目立つ。
雌は雄に比べて体が大きく、嘴や脚も長い。夏羽では雄に比べて赤みが少なく、眉班は白く目立つ。冬羽では雌雄は変わらない。
幼羽は冬羽に似るが、全体が淡褐色で、上面は黒褐色のギザギザの軸班に淡褐色の羽縁。
飛翔時オグロシギのようにはっきりした翼帯は出ない。
■鳴き声
「ケッ、ケッ、ケッ《と感覚をあけて鳴く。繁殖地では「ピュピュー《等高い声で連続的に鳴きディスプレーフライトを行う。
■採餌
長い嘴を垂直に突立て主にゴカイなどを捕える。
■繁殖
繁殖はツンドラ地帯で、乾いた草地に通常4個産卵する。抱卵は20~21日で、雌雄で行う。
■吊前の由来
大きく反った嘴のシギの意味と思われる。 英語吊は腰から尾羽に縞があることから。
■亜種
4亜種ある。
ヨーロッパ北部で繁殖する亜種L.l.lapponica、 シベリア北西、北中央部で繁殖する亜種L.l.taymyrensis、 シベリア北東部で繁殖する亜種コシジロオオソリハシシギ(L.l.menzbieri)、 シベリア北東部からアラスカ北、西部で繁殖する亜種オオソリハシシギ(L.l.baueri)。
■分布
ユーラシア大陸北部、アラスカ西部で繁殖し、ヨーロッパ、アフリカ、中東、東南アジア、オセアニア沿岸等で越冬。
日本には亜種オオソリハシシギ春秋に旅鳥として渡来するが、腰の白い亜種コシジロオオソリハシシギも稀に観察されている。
■福岡での事例
福岡では旅鳥で干潟等で見られるが、近年渡来数が減っている。
【室見川】マリナタウン海浜公、愛宕など下流域で観察。
【今津】瑞梅寺川河口干潟及び周辺農耕地で観察。

【2】雄夏羽。2023.04.08福岡県福岡市、室見川室見新橋下流にて撮影。

【3】雄夏羽。2023.04.09福岡県福岡市、室見川室見新橋下流にて撮影。

【4】雄夏羽。2023.04.12福岡県福岡市、室見川室見新橋下流にて撮影。

【5】雌夏羽。2023.04.13福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【6】亜種オオソリハシシギは翼下面に黒褐色の班がある。雌夏羽。2023.04.13福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【7】腰から尾羽に黒褐色の横斑がある。雌夏羽。2023.04.13福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【8】冬羽。2008.05.02福岡県福岡市、室見川愛宕にて撮影。

【9】冬羽。2020.03.29福岡県福岡市、室見川室見新橋下流にて撮影。

【10】幼羽。2019.09.11福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【11】右の個体が体が大きく雌幼羽。2019.09.12福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/04/13作成