チドリ目
CHARADRIIFORMES
シギ科
Scolopacidae
オバシギ属
Calidris (Merrem, 1804)
エリマキシギ(襟巻鴫)
Calidris pugnax
(Linnaeus, 1758) Ruff
L♂26~32、♀20~25m W48~58cm
旅鳥
水田・湿地・干潟・埋立地の水たまり
【1】雄夏羽へ換羽中。2016.05.13福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。
夏羽の雄は襟巻のような美しい飾り羽がある中形のシギ類。
■形態
雄夏羽は、羽の色の変異が多く、顎の襟巻状の飾り羽を含め、白、赤褐色、黒、まだらなど様々な模様がある。嘴の色も様々で、少し下へ曲がっている。足も、黄色、赤、橙色等様々。目の周りに前後が切れた白いアイリングあり、キツネ眼に見える。 雌は雄より一回り小さく、頭部からの上面は淡褐色で、黒褐色の斑がある。胸から下は白く、黒褐色の斑がある。 冬羽では雌雄共に灰褐色で、雌夏羽に似るが、頸や胸は灰色で無斑。 幼羽は全体に黄褐色で、背、翼は黒い軸斑に黄褐色の羽縁があり鱗模様に見える。幼羽でも雄は雌より一回り大きい。
■鳴き声
日本では殆ど鳴き声は聞かれないが、繁殖地では「クヮッ、クヮッ《等と大きな声で鳴く。
■採餌
浅い水中を歩きながら、嘴を泥に差し込み、水棲昆虫や貝類等の小動物を食べる。
■繁殖
草原の小高いところにある、レックと呼ばれる踊り場に雄が集まり、やってきた雌相手にエリマキを広げたりするデイスプレーを行う。雌は雄を選んで交尾した後、レックを去り、雌だけで地上に営巣する。通常4個産卵し、抱卵日数は20~23日くらい。
■吊前の由来
江戸後期に「てりかねしぎ《の吊前で描かれている。雄の夏羽には頸に襟巻き状の飾り羽が出ることからこの和吊となったと思われる。
■亜種
亜種はない。
■分布
ユーラシア大陸北部で繁殖し、アフリカ、中東、インド、オーストラリア南部で越冬する。
日本には旅鳥として春秋に渡来するが、夏羽を観察できる事は少ない。
■福岡での事例
福岡では旅鳥として休耕田などで見られるが多くない。秋の幼鳥の記録が多い。
【今津】2001年8月に周船寺川水門で観察以降、2002年8月、2010年9月に工場裏、2002年9月、2006年3月、2010年9月、2011年8月などに田尻、2003年9月、2005年9月、2010年9月、2014年9月7羽、2019年9月などに太郎丸で観察。
【糸島市】2011年8月、2015年9月、2016年9月3羽、2018年9月などに板持、2013年10月に新田、2014年9月、2018年9月、2019年9月に荻浦で観察。
【福津市】2018年9月津屋崎で幼5羽の記録がある。
【2】雄夏羽へ換羽中。2016.05.13福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。
【3】雄冬羽から夏羽へ換羽中。雨覆や三列風切などに夏羽が出ている。2006.03.29福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
【4】雄夏羽へ換羽中。2006.04.19佐賀県白石町、福富干拓にて撮影。
【5】雄夏羽へ換羽中。2006.04.19佐賀県白石町、福富干拓にて撮影。
【6】雌冬羽。2008.09.21佐賀県佐賀市、大授干拓にて撮影。
【7】雌冬羽。2008.09.21佐賀県佐賀市、大授干拓にて撮影。
【8】雄幼羽。全体に褐色味が強い、磨耗、褪色の少ない(フレッシュな)個体。2001.08.28福岡県福岡市、今津周船寺川水門にて撮影。
【9】雌幼羽。磨耗、褪色が進んでいる。2001.08.31福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。
【10】雌幼羽。飛翔。2022.09.24福岡県福岡市、今津太郎丸にて撮影。
【11】雌雄の差が大きい。左からフレッシュな雄幼羽、褪色が進んでいる雌幼羽、褪色が進んでいる雄幼羽。2001.08.31今津太郎丸にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/10作成