チドリ目
CHARADRIIFORMES
シギ科
Scolopacidae
ヒレアシシギ属
Phalaropus (Brisson, 1760)

アカエリヒレアシシギ(赤襟鰭足鴫)
Phalaropus lobatus (Linnaeus, 1758)  Red-necked Phalarope
L18~19cm W31~34cm
旅鳥
海上・海岸近くの水田や湖沼
【1】雌夏羽。2003.05.10今津田尻にて撮影。
夏羽では襟から首にかけて赤褐色となりヒレアシシギ類。
■形態
雌雄ほぼ同色。雄より雌の方が羽色が鮮やか。 雌夏羽では頭部が黒く、目の上に白い小班があり、頬と喉は白い。後頭から、首は赤茶色。背からの上面は黒褐色で橙褐色の羽縁がある。胸から下は白い。嘴は細くまっすぐで黒。脚は黒く、前向きの三本の趾の縁に鰭がある。
雄は首の赤褐色がを含め全体が淡い。
冬羽では頭部からの体下面は白く、眼の回りから後方と頭頂は灰黒色。背からの上面は灰色。
幼羽は冬羽に似るが、上面の灰色部分が黒く、背と肩羽に淡黄色の羽がある。
■鳴き声
飛び立つときに「ジュッ、ジュッ《と濁った声でなく。
■行動
海上で群れで見られることが多いが、海岸近くの水田や湖沼などにはいることもある
■採餌
足に鰭があるため、歩くことは苦手で、水面に浮かび、泳ぎながら水面をせわしなくつついて餌を採る。くるくると回って渦を起こし、浮かび上がってくる小動物などを啄む事も知られている。
■繁殖
求愛は雌が主導で行い、抱卵は雄だけが行う。交尾も水上で行う。流れのある湿原の小高い地上にややコロニー的に営巣し、通常4個産卵し、抱卵日数は約16~20日。
■吊前の由来
江戸時代後期に海面でよく泳ぐことから、ヒレアシシギ類を「うきちどり《言われていた。「をきちどり《「うみちどり《の異吊がある。英語吊は夏羽の後頸が赤茶色のヒレアシシギ類のことから。和吊も同様か。
■亜種
亜種はない。
■分布
ユーラシアと北米の北極海沿岸で繁殖し、アラビア半島沖、フィリピン周辺、ペルー沖で越冬する。
日本には旅鳥として春秋に渡来するほか、関東地方以北の太平洋側の海上では夏でも見られる。また、少数が東北地方以南の海上で越冬する。
■福岡での事例
福岡では旅鳥として近海海域に飛来し、河口などの沿岸部でも見られる。颱風など海が荒れた時はより内陸に入る事がある。近年は渡来数が激減している。
【室見川】1977年4月27羽、1978年4月、1979年5月に旧河口部で、2019年5月福重橋上流で記録があり、2004年8月の颱風時には飯盛の休耕田で群れが観察された。
【今津】2002年9月、2003年5月に10羽、2004年8月に7羽、2010年8月などに田尻で観察。2005年8月、2006年8月に元浜、2010年8月、2018年9月に太郎丸で観察。
【大濠公園】2006年5月に9羽の記録がある。
【糸島市】2011年9月板持で観察。2017年9月に荻浦で記録がある。
【古賀市】2018年9月花鶴川河口で記録がある。
【福津市】2008年7月津屋崎で記録がある。

【2】雌夏羽。2003.05.10今津田尻にて撮影。

【3】雄夏羽。2006.05.02今津田尻にて撮影。

【4】雌夏羽。2003.05.10今津田尻にて撮影。

【5】雌夏羽。2003.05.10今津田尻にて撮影。

【6】冬羽へ換羽中。殆どが摩耗した夏羽だが背に白い冬羽が出ている。2010.08.03今津田尻農耕地にて撮影。

【7】冬羽へ換羽中。6と同一個体。赤味が減っている。2010.08.16今津田尻農耕地にて撮影。

【8】冬羽へ換羽中。2003.09.06今津田尻農耕地にて撮影。

【9】冬羽へ換羽中。2004.08.31今津田尻農耕地にて撮影。

【10】海上の群れ。2012.09.12長崎県平戸市、西側海上にて撮影。

【11】飛翔。白い翼帯が見える。2012.09.12長崎県平戸市、西側海上にて撮影。

【12】幼羽から第1回冬羽に換羽中。2002.09.12今津田尻にて撮影。

【13】幼羽。趾にヒレがある。2018.09.11今津太郎丸にて撮影。

【14】趾にヒレがある。2018.09.11今津太郎丸にて撮影。

【15】第1回冬羽。2004.08.31今津太郎丸にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/10作成