チドリ目
CHARADRIIFORMES
カモメ科
Laridae
カモメ属
Larus (Linnaeus, 1758)

セグロカモメ(背黒鴎)
Larus vegae Palmén, 1887  Vega Gull
L55~67cmW135~150cm
冬鳥
海岸・港・河口
【1】冬羽。亜種セグロカモメ。2003.02.09福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。
脚がピンク色の大型のカモメ。
■形態
雌雄同色。
夏羽では頭部から頸、体下面、尾は白く、背と翼は青灰色。背の青灰色はウミネコより薄い。次列・三列風切先端は幅広く白い。初列風切はP10からP6~P4まで黒く、先端に小さい白斑がある。P10には白いミラーがあり、P9にあるものもいる。足はピンク色だが、黄色味を帯びたものもいる。嘴は黄色く、下嘴の先に赤い斑がある。
冬羽では頭部から頸にかけて灰褐色の斑が入る。
幼鳥は全身褐色で、褐色の肩羽は淡色の羽縁の切れ込みが多い。初列風切は黒褐色。嘴は黒く、虹彩も暗色。
第1回冬羽は肩羽が錨型模様になり、嘴基部がピンク色になる。後期には磨耗が進み白っぽくなる。
第2回冬羽では肩羽に青灰色が混じる。
第3回冬羽では肩羽は青灰色になり、雨覆、三列風切も青灰色が混じる。
第4回冬羽ではほぼ成鳥冬羽に似るが、嘴に黒斑が残る。
成鳥になるまで4年かかる。
■鳴き声
「クワワワワワッ《と大きな声で連続して鳴く事が多く、セグロカモメよりも濁りがない。
■採餌
魚類、貝類、甲殻類、小動物等の死骸を餌にする。繁殖期は魚類、鳥の卵、草の実なども食べる。
■亜種
2亜種ある。
アルタイ共和国からバイカル湖(ロシア南中央部)およびモンゴル、 ハンカ湖(黒竜江省、中国北東部)、黄海の島嶼(朝鮮半島西部)で繁殖する亜種モンゴルカモメ(L.v.mongolicus)、 タイミルからチュクチまでの北極圏のシベリア中央、東部、ニューシベリア諸島(オストロヴァ・アンジュ:ロシア北中央部沖) およびセントローレンス島(ベーリング海北部)で繁殖する亜種セグロカモメ(L.v.vegae)。 亜種セグロカモメは日本鳥類目録7版まではヨーロッパセグロカモメ(Larus argentatus)の1亜種セグロカモメ(L.a.vegae)ととされていた。 また、亜種モンゴルカモメは日本鳥類目録7版まではキアシセグロカモメ(Larus cachinnans)の1亜種キアシセグロカモメ(L.c.mongolocus)ととされていた。
■分布
シベリア北西部とバイカル湖周辺で繁殖し、朝鮮半島から中国沿岸部、日本で越冬する。
日本には冬鳥として亜種セグロカモメが全国に渡来するほか、亜種モンゴルカモメも西日本を中心に少数が渡来する。
■福岡での事例
福岡でも亜種セグロカモメは冬鳥。9月~4月頃普通に群れが見られる。群れの中に亜種モンゴルカモメが混じることもある。
【室見川】河口から小田部大橋くらいまでの流域で冬季普通に見られ、亜種モンゴルカモメも観察できた。
【今津】瑞梅寺川河口や周辺沿岸で冬季普通に見られる。 【大濠公園】舞鶴公園から大濠公園の水際で冬季普通に見られる。 【志賀島】海水浴場や漁港、周辺会場で冬季普通に見られる。

【2】夏羽。亜種セグロカモメ。

【3】夏羽。亜種モンゴルカモメ。2003.02.14糟屋郡新宮町にて撮影。

【4】冬羽。亜種セグロカモメ。

【5】冬羽。亜種モンゴルカモメ。

【6】幼羽。亜種セグロカモメ。2007.11.02福岡県福岡市、室見川筑肥橋上流にて撮影。

【7】幼羽。亜種モンゴルカモメ。

【8】第1回冬羽。亜種セグロカモメ。2003.01.13福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【9】第1回冬羽。亜種モンゴルカモメ。

【10】第2回冬羽。亜種セグロカモメ。2003.01.17福岡県福岡市、志賀島海水浴場にて撮影。

【11】第2回冬羽。亜種モンゴルカモメ。

【12】第3回冬羽。亜種セグロカモメ。2002.12.01福岡県新宮町、新宮海水浴場にて撮影。

【13】第3回冬羽。亜種モンゴルカモメ。

【14】第4回冬羽。亜種セグロカモメ。2002.02.04福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【15】第4回冬羽。亜種モンゴルカモメ。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/06/06作成