チドリ目
CHARADRIIFORMES
カモメ科
Laridae
カモメ属
Larus (Linnaeus, 1758)

オオセグロカモメ(大背黒鴎)
Larus schistisagus Stejneger, 1884  Slaty-backed Gull
L55〜67mW132〜148cm
留鳥及び冬鳥
海岸・港
【1】冬羽。2001.2.8大濠公園にて撮影。
日本で見られる大型カモメ類の中で、背の色が一番濃いカモメ。
■形態
雌雄同色。
夏羽では頭部から頸、体下面、尾は白く、背と翼は黒灰色。背の黒灰色はウミネコより濃い。次列・三列風切先端は幅広く白い。初列風切のP10からP5の先は黒く、先端に小さい白斑がある。P10に大きな白い班(ミラー)があり、P9にも小さな白い白い班(ミラー)がある事があり、P8~P5には白い半月斑(ムーン)がある。初列風切の尾端からの突出はセグロカモメより短い。脚はピンク色。嘴は黄色でやや大きく、セグロカモメより先端が膨らんで見える。また、下嘴の先に赤い斑がある。虹彩は淡色。
冬羽では頭部から頸にかけて灰褐色の斑が入るが、目を中心としてはいるため、目つきが鋭く見える。
幼鳥は全身褐色で、初列風切先端は淡色。嘴は黒く、虹彩も暗色。
第1回冬羽は頭部から胸にかけて白っぽく、肩羽が細い斑になる。
第1回夏羽では磨耗が進み、全身が白っぽくなる。
第2回冬羽では肩羽に黒灰色が混じり、嘴基部がピンク色になり、虹彩も淡色。
第3回冬羽では肩羽は黒灰色になり、雨覆、三列風切も黒灰色が混じる。
第4回冬羽ではほぼ成鳥冬羽に似るが、嘴に黒斑が残る。
■鳴き声
「クゥオ」「ミャオ」と一声ずつ区切って鳴く事が多く、セグロカモメよりも濁っている。繁殖地では「クヮオッ クヮオッ」「ミャーオ ミャーオ」等と大きな声で長く伸ばして鳴く。
■採餌
魚類、貝類、甲殻類、小動物等及びその死骸を餌にする。
■繁殖
断崖の岩棚や草地の地面に集団営巣する。浅いくぼみを掘り、枯草、海藻等で粗雑な皿型の巣を作る。通常2〜3個産卵し、雌雄で約25〜26日抱卵する。卵は緑色味のある淡褐色の地に暗褐色の斑があり、約7.3×5.1cm。巣立ち迄は約40日。
■名前の由来
江戸時代にはウミネコなどより大きい事からセグロカモメ、ワシカモメとともに「おほかもめ」と呼ばれていた。セグロカモメより大きい訳ではないのに、オオセグロカモメとなったのかは不明。
■亜種
亜種はない。
■分布
アナディルの南のシベリア北東部の海岸と湖、カムチャツカ、オホーツク海、樺太、千島列島 、中国北東部、北海道、本州北部で繁殖し、日本および朝鮮半島、渤海(中国)および台湾の海岸で越冬するが、他の場所へ極度の放浪をする傾向がある。
日本では北海道と東北の一部のみの狭い範囲で繁殖し東北以北が留鳥で、あとは冬鳥として飛来する。
■福岡での事例
福岡では冬鳥で、10〜4月。 【室見川】河口から小田部大橋くらいまでの流域。 【大濠公園】園内の池。

【2】夏羽。2002.2.18大濠公園にて撮影。

【3】幼羽。2005.11.27室見川マリナタウン人口海浜にて撮影。

【4】磨耗した幼羽。2002.11.29志賀島にて撮影。

【5】第1回冬羽。肩羽が錨模様のタイプ。2005.12.10室見川室住団地横にて撮影。

【6】第1回冬羽。肩羽が軸斑だけのタイプ。2005.12.10室見川室住団地横にて撮影。

【7】磨耗した第1回冬羽。2002.2.18大濠公園にて撮影。

【8】第1回夏羽。磨耗して全体が白くなっている。嘴基部がピンク色になっているが、虹彩はまだ暗色。

【9】第2回冬羽。虹彩が白くなっている。2003.1.17志賀島にて撮影。

【10】第3回冬羽。三列風切にも灰色の成鳥羽が生えだしている。2005.12.10室見川室住団地横にて撮影。

【11】第4回冬羽。殆ど成鳥冬羽に近いが、嘴に黒い斑がある。2002.12.1福岡県新宮町にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑」
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2023/07/01作成