チドリ目
CHARADRIIFORMES
チドリ科
Charadriidae
チドリ属
Charadrius (Linnaeus, 1758)

コチドリ(小千鳥)
Charadrius dubius Scopoli, 1786  Little Ringed Plover
L14~17cm W35cm
夏鳥または留鳥
河原・水田
【1】夏羽雄。2005.06.11福岡県福岡市、室見川大井出橋にて撮影。
黄色いアイリングが目立つ小型のチドリ類。
■形態
雌雄ほぼ同色。
夏羽では額は白く、前頭に過眼線に繋がる黒い帯があり、頭部の褐色との間に白色部がある。嘴は黒いが、嘴基部に黄橙色のある個体もいる。過眼線は黒く、明瞭な黄色いアイリングがある。後頸と眼から下は白く、背から続く黒い帯が、胸で繋がる。背からの上面は褐色。飛翔時に翼帯はない。胸から下は白い。脚は黄色からオレンジ色がかった黄色まで。
雌は雄の黒色部に褐色味がある。
冬羽では黒色味がなくなり、全体に淡くなる。
幼鳥は冬羽に似るが上面は白い羽縁が明瞭。
■鳴き声
繁殖期には「ピッピッピ、ビュービュー《等と体大きな声で鳴きながら飛びまわる。地面の上では「ピォ、ピォ、ピォ《「ピピ、ピピ《等と区切って鳴く。
■行動
イカルチドリに似るが、小さく、黄色いアイリングは明瞭。飛翔時に翼帯はない。シロチドリよりは上流、イカルチドリよりは下流に棲息する傾向がある。繁殖期には偽傷を行う。
■採餌
主に昆虫等の小動物を餌にする。
■繁殖
繁殖期はつがいで縄張りを持ち、開けた砂地や砂礫地の地面にくぼみを付けて作られる。環境に応じて多くの小石や枯れ草等の巣材が使われる時がある。産卵期は4~7月で通常4個産卵する。抱卵は22~25日位。孵化した雛は半日で巣を離れ、初めから自分で餌を採る。
■吊前の由来
江戸時代にコチドリを「こじゅん《、イカルチドリを「おほじゅん《と呼び区別していた。また江戸時代に「こちどり《の吊前で描かれたものには、メダイチドリだったりもし、小型チドリ類を総じて「こちどり《と呼んでいたと思われる。
■亜種
3亜種ある。 イギリス諸島、スカンジナビア南、中央部、イベリア半島およびアフリカ北部、ロシアを越えてオホーツクおよびウスリーランド、トルコ南部を通って中東からイラン、モンゴル北部から中国東中央部、朝鮮半島、台湾および北海道から九州までで繁殖する亜種イソシギ(C.d.curonicus)、 インドから中国南部、タイ北、中央部、カンボジア頭部およびベトナム北中央、南東部で繁殖する亜種C.d.jerdoni、 フィリピン、ニューギニア、ニューアイルランドとニューブリテン (ビスマルク諸島)で繁殖する亜種C.d.dubius
■分布
ユーラシア大陸亜寒帯から熱帯に広く繁殖し、アフリカ、インド、東南アジアで越冬する。
日本では夏鳥として全国に渡来し、九州以北で繁殖する。本州中部以南では越冬する個体もいる。
■福岡での事例
福岡では夏鳥となっているが、そのまま越冬するのか、北から来た越冬個体なのか分からないが冬季も見られる。
【室見川】2001年3月で立花堰で観察以降、毎年小田部大橋から井田尻橋にかけての砂地や堰の上で観察。繁殖も確認。
【今津】2001年3月周船寺川水門で観察以降毎年周辺農耕地、干潟で観察。
【和白】2001年4月塩浜、2003年4月干潟で観察。
【野多目大池】2001年12月に30+の群れを観察。
【多々良川】2004年5月宇美川合流点で観察。
【糸島市】2012年5月に新田で観察以来、板持、荻浦、泉川河口などで毎年観察。
【筑紫野市】2014年6月石崎にて記録がある。
【春日市】2017年5月牛頸川にて記録がある。
【太宰府市】2017年6月高雄にて記録がある。

【2】夏羽雄。嘴基部に黄橙色のある個体。2004.04.09福岡県福岡市、今津田尻農耕地にて撮影。

【3】夏羽雄。額の白色部が狭い個体。2005.03.30福岡県福岡市、室見川橋本八幡横にて撮影。

【4】夏羽雌。耳羽が褐色。2003.04.03福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【5】夏羽雌。過眼線が黒くない。嘴基部に黄橙色のある個体。2005.03.30福岡県福岡市、室見川橋本八幡横にて撮影。

【6】夏羽雌。翼の裏は白い。2006.07.01福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【7】冬羽。2001.09.10福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【8】飛翔。2014.05.04福岡県福岡市、室見川橋下橋下流にて撮影。

【9】飛翔。2014.05.04福岡県福岡市、室見川橋下橋下流にて撮影。

【10】交尾。2011.04.07福岡県福岡市、室見川橋下橋下流にて撮影。

【11】抱卵。2004.05.26福岡県福岡市、室見川外還室見橋にて撮影。

【12】卵。3個見える。2004.05.27福岡県福岡市、室見川外還室見橋にて撮影。

【13】雛。2020.06.04宮崎県宮崎市、芳士にて撮影。

【14】幼鳥。上面の羽縁が鱗状に見える。2005.06.11福岡県福岡市、室見川大井出橋にて撮影。

【15】幼鳥。羽縁がすれて、鱗状には見えない。2002.09.04福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/15作成