- 黄色いアイリングが目立つ小型のチドリ類。
- ■形態
- 雌雄ほぼ同色。
夏羽では額は白く、前頭に過眼線に繋がる黒い帯があり、頭部の褐色との間に白色部がある。嘴は黒いが、嘴基部に黄橙色のある個体もいる。過眼線は黒く、明瞭な黄色いアイリングがある。後頸と眼から下は白く、背から続く黒い帯が、胸で繋がる。背からの上面は褐色。飛翔時に翼帯はない。胸から下は白い。脚は黄色からオレンジ色がかった黄色まで。
雌は雄の黒色部に褐色味がある。
冬羽では黒色味がなくなり、全体に淡くなる。
幼鳥は冬羽に似るが上面は白い羽縁が明瞭。
- ■鳴き声
- 繁殖期には「ピッピッピ、ビュービュー《等と体大きな声で鳴きながら飛びまわる。地面の上では「ピォ、ピォ、ピォ《「ピピ、ピピ《等と区切って鳴く。
- ■行動
- イカルチドリに似るが、小さく、黄色いアイリングは明瞭。飛翔時に翼帯はない。シロチドリよりは上流、イカルチドリよりは下流に棲息する傾向がある。繁殖期には偽傷を行う。
- ■採餌
- 主に昆虫等の小動物を餌にする。
- ■繁殖
- 繁殖期はつがいで縄張りを持ち、開けた砂地や砂礫地の地面にくぼみを付けて作られる。環境に応じて多くの小石や枯れ草等の巣材が使われる時がある。産卵期は4~7月で通常4個産卵する。抱卵は22~25日位。孵化した雛は半日で巣を離れ、初めから自分で餌を採る。
- ■吊前の由来
- 江戸時代にコチドリを「こじゅん《、イカルチドリを「おほじゅん《と呼び区別していた。また江戸時代に「こちどり《の吊前で描かれたものには、メダイチドリだったりもし、小型チドリ類を総じて「こちどり《と呼んでいたと思われる。
- ■亜種
- 3亜種ある。
イギリス諸島、スカンジナビア南、中央部、イベリア半島およびアフリカ北部、ロシアを越えてオホーツクおよびウスリーランド、トルコ南部を通って中東からイラン、モンゴル北部から中国東中央部、朝鮮半島、台湾および北海道から九州までで繁殖する亜種イソシギ(C.d.curonicus)、
インドから中国南部、タイ北、中央部、カンボジア頭部およびベトナム北中央、南東部で繁殖する亜種C.d.jerdoni、
フィリピン、ニューギニア、ニューアイルランドとニューブリテン (ビスマルク諸島)で繁殖する亜種C.d.dubius。
- ■分布
- ユーラシア大陸亜寒帯から熱帯に広く繁殖し、アフリカ、インド、東南アジアで越冬する。
日本では夏鳥として全国に渡来し、九州以北で繁殖する。本州中部以南では越冬する個体もいる。
- ■福岡での事例
- 福岡では夏鳥となっているが、そのまま越冬するのか、北から来た越冬個体なのか分からないが冬季も見られる。
【室見川】2001年3月で立花堰で観察以降、毎年小田部大橋から井田尻橋にかけての砂地や堰の上で観察。繁殖も確認。
【今津】2001年3月周船寺川水門で観察以降毎年周辺農耕地、干潟で観察。
【和白】2001年4月塩浜、2003年4月干潟で観察。
【野多目大池】2001年12月に30+の群れを観察。
【多々良川】2004年5月宇美川合流点で観察。
【糸島市】2012年5月に新田で観察以来、板持、荻浦、泉川河口などで毎年観察。
【筑紫野市】2014年6月石崎にて記録がある。
【春日市】2017年5月牛頸川にて記録がある。
【太宰府市】2017年6月高雄にて記録がある。
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