チドリ目
CHARADRIIFORMES
チドリ科
Charadriidae
タゲリ属
Vanellus (Brisson, 1760)

ケリ(鳧)
Vanellus cinereus (Blyth, 1842)  Grey-headed Lapwing
L34~37cm・W75cm
留鳥または冬鳥
水田・畑・草地
【1】夏羽。2005.05.02福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
白黒茶のコントラストの綺麗な翼を持った大型のチドリ。
■形態
雌雄同色。
頭部から喉は青灰色で、背からの上面は灰褐色。初列風切、雨覆が黒く、次列風切と雨覆の一部が白い。上尾筒からは白く、尾羽先端は黒い。嘴は黄色く先端が黒い。虹彩は赤橙でアイリングは黄色。胸は青灰色から茶褐色で、黒色の帯がある。腹から下は白色。脚は長く黄色。
幼鳥は全体に色が鈊く、胸の黒い帯もない。虹彩は暗色。
■鳴き声
鳴き声は「キキリ、キキリ《「キリリリ《など。
■行動
非繁殖期は10羽前後から数十羽の群で生活する。
■採餌
地上で、カエルや昆虫等を捕食する。
■繁殖
番で縄張りを持ち、地上を浅く掘り窪めて営巣する。産卵期は3~6月で、通常4個産卵する。抱卵日数は27~30日。繁殖時に外敵に襲われた場合、激しく鳴きながら上空を飛び回り、急降下して攻撃するなど、近くで繁殖しているものと集団で追い払う。雛は綿羽が乾くと巣から離れ、親鳥の縄張りないで生活する。雛が外敵に襲われた時は親は偽傷行為をする。
■亜種
亜種はない。
■分布
モンゴル東部、中国東北部で繁殖し、中国南部インドシナ北部で越冬する。
日本では近畿以東の本州で繁殖し、北部のものは暖地に渡る。最近福岡、佐賀などでも繁殖している例がある。分布の変化の激しい鳥で、戦前は北関東から東北、現在は東海から近畿地方に多く、北関東、東北にも点々と繁殖地がある。
■福岡での事例
福岡では少ない冬鳥だったが、1980年代後半に古賀市で繁殖が確認されて以来、周辺の市町村へ繁殖範囲を広げている。
【今津】2005年5月田尻、2010年9月桑原、2018年11月、2021年8月学園通りで観察。
【糸島市】2015年8月荻浦、2018年8月泉川河口で観察。
【粕屋町】2005年5月酒殿で観察。
【須恵町】2014年5月相良で営巣の記録がある。
【筑紫野市】2020年3月杉塚で記録がある。
【古賀市】2001年6月今在家で観察。
【宗像市】2007年4月大穂にて繁殖の記録がある。

【2】夏羽。2005.05.02福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【3】白い尾の先端は黒い帯がある。2003.04.27佐賀県鳥栖市にて撮影。

【4】威嚇飛翔。繁殖地に近づくと鳴きながら威嚇する。2022.05.24福岡県粕屋町にて撮影。

【5】飛翔。2023.06.12福岡県粕屋町にて撮影。

【6】冬羽。2022.09.23福岡県粕屋町にて撮影。

【7】雛。2022.04.30福岡県粕屋町にて撮影。

【8】雛。2005.05.28福岡県粕屋町にて撮影。

【9】幼羽。2005.06.03福岡県粕屋町にて撮影。

【10】幼羽。2006.06.20福岡県粕屋町にて撮影。

【11】幼羽。202108.07福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/07作成