チドリ目
CHARADRIIFORMES
チドリ科
Charadriidae
チドリ属
Charadrius (Linnaeus, 1758)

イカルチドリ(斑鳩千鳥)
Charadrius placidus Gray, JE & Gray, GR, 1863  Long-billed Plover
L19~21cm W45cm
留鳥または夏鳥
河原・水田
【1】夏羽雄。2010.03.27福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。
コチドリよりひとまわり大きなチドリ類。
■形態
雌雄ほぼ同色。
夏羽では頭部からの上面は淡褐色で、額は白くその上に黒い帯がある。頭頂から後頭は淡褐色。後頸は喉から続く白。翼を広げると大雨覆の白い先端が、細い翼帯になる。嘴は黒く長い。白い眉斑があり、過眼線は黒みのある淡褐色。黄色いアイリングは細い。腮から頬、頸周りは白く、胸との間に黒い細い帯がある。胸から下は白い。脚は淡黄色。爪は黒い。
雌は額の黒色部も淡く、過眼線に黒色味がない。
冬羽では、額の黒色部が淡褐色になり、胸の黒色も細くなる。
幼羽は冬羽に似るが、眉斑が上明瞭で、上面は白い羽縁と細いサブターミナルバンドが目立つ。
コチドリに良く似るが、コチドリは体がひとまわり小さく、アイリングが太く、黄色が鮮やかで、飛翔時に白い翼帯がほとんどない。
■鳴き声
繁殖期には「ピョッピョッピョッ《「ピィーピィーピィー《等と鳴きながら飛びまわる。地面の上では「ピォ《「ピィ《等と鳴く。
■行動
干潟に出ることは稀で、川の中流以上の砂礫の中州などで見られる。
■採餌
昆虫等の動物質を主に餌にする。
■繁殖
繁殖期はつがいで縄張りを持ち、砂礫地の地面を浅く掘り、くぼみを付けて、小石や椊物片を使って作る。産卵期は3~7月で通常4個産卵する。抱卵は27日位。雛は孵化して間もなく巣を離れ、親について歩く。親鳥は危険を感じたら、偽傷を行う。
■吊前の由来
江戸時代にコチドリを「こじゅん《、イカルチドリを「おほじゅん《と呼び区別していた。江戸前期に頸の黒い輪から「くびたまちどり《と呼ばれ、江戸中期からは語源上明で「いかるちどり《とも呼ばれるようなる。明治時代の鳥類目録ではこの3つの吊前が並記されたものもあり、大正時代にイカルチドリに統一された。
■亜種
亜種はない。
■分類問題
日本鳥類目録第6版では、日本以外の個体群を別亜種としており、日本に分布する個体群を、日本固有の亜種イカルチドリ(C.p.japonicus)としていた。
■分布
シベリア南東部、北海道から九州、朝鮮半島北、中央部、中国北東、東中央部、離れてインド北東部で繁殖し、ネパール中央部、インド北東部、中国南、南東部、朝鮮半島南部、台湾、タイ北部、ベトナム北、中央部に渡る。
日本では九州以北で繁殖し留鳥。北海道では夏鳥。
■福岡での事例
福岡では留鳥で室見川などで繁殖している。
【室見川】2001年4月立花堰で観察以来、室見川筑肥橋上流より上流で毎年観察。
【今津】2010年4月田尻で観察。
【那珂川市】2006年2月通善にて記録がある。
【筑紫野市】2006年11月天拝湖にて記録がある。
【春日市】2008年6月牛頸川で記録がある。
【宗像市】2020年12月日の里蓮池にて10羽の記録がある。

【2】夏羽雄。2009.02.11福岡県福岡市、室見川橋下橋下流にて撮影。

【3】夏羽雌。1とのペア。過眼線が黒くない。2010.05.03福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【4】夏羽雄?。摩耗が進んでいる。2001.04.25福岡県福岡市、室見川金武井堰にて撮影。

【5】冬羽雄から夏羽へ換羽中か?眉斑がはっきりしていない。2003.12.13福岡県福岡市、室見川金武井堰にて撮影。

【6】冬羽雄から夏羽へ換羽中か?2009.01.06福岡県福岡市、室見川橋下橋下流にて撮影。

【7】飛翔。2013.05.11福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【8】飛翔。2022.01.09福岡県福岡市、室見川橋下橋上流にて撮影。

【9】雛。2011.05.05福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【10】幼鳥。2021.05.04福岡県福岡市、室見川橋下橋上流にて撮影。

【11】幼羽。2004.07.24福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【12】外趾と中趾の間に蹼がある。幼羽。2004.07.24福岡県福岡市、今津田尻にて撮影。

【13】羽縁がはっきりしている。第1回冬羽から第1回夏羽?。2005.01.14福岡県福岡市、室見川河原橋上流にて撮影。

【14】外側尾羽の先端に白斑がある。デイスプレーする雄(右)雌(左)。2010.05.03福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。

【15】交尾。2010.04.18福岡県福岡市、室見川小田部大橋下流にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/14作成