チドリ目
CHARADRIIFORMES
チドリ科
Charadriidae
ムナグロ属
Pluvialis (Brisson, 1760)

ダイゼン(大善)
Pluvialis squatarola (Linnaeus, 1758)  Grey Plover
L27~31cm W71~83cm
旅鳥または冬鳥
干潟・水田
【1】夏羽。2010.04.29熊本県荒尾市、荒尾海岸にて撮影。
白黒のコントラストがきれいな大型のチドリ。
■形態
雌雄同色。
夏場では頭部からの上面は白く、頭頂に黒い小斑があり、背から翼には黒い軸班が明瞭で、尾羽にも黒い小斑がある。飛翔時初列風切基部が白く、翼帯となる。顔から腹までは黒く、側頸から脇、下腹から下尾筒の白い。翼下面は白く、腋羽のみ黒い。嘴は太くて短くて黒い。脚も黒色で第1趾がある。
冬羽では頭部から上面は灰褐色で、肩羽や雨覆には白い羽縁が明瞭。体下面は白く、喉、胸から腋にかけて淡褐色斑がある。
幼鳥は冬羽に似るが、肩羽や雨覆の軸斑が羽端の先まで達しているヒイラギ模様の為、灰褐色と白の模様がはっきりしている。また、胸には淡褐色の縦斑がある。
ムナグロとよく似るが、ムナグロには脚に第1趾がなく、ムナグロの翼下面腋羽は黒くない。またムナグロ夏羽では頭上から背、尾羽まで、黄、黒、白の斑が散在し、冬羽ではムナグロの腹は白くない。
■鳴き声
「ピィーウィー《や「ピューイー《等と鳴く。
■行動
淡水を好むムナグロと違い、内陸部で見られることは稀。
■採餌
湿った泥質の干潟を好み、主にゴカイ類を食べ、甲殻類、貝類も獲る。繁殖期は昆虫類や草の実も食べる。
■繁殖
地衣類のある乾いた地上に営巣する。通常4個産卵し、放卵日数は約26〜27日で巣立ちまでは約23日くらい。
■吊前の由来
江戸時代中期より「だいぜんしぎ《の吊前で知られる。肉の味がよく宮中の宴会料理、大善に使われた為と言われる。明治期の鳥類目録で「ダイゼン《と略された。
■亜種
亜種はない。
■分布
ユーラシア、北米大陸の寒帯で繁殖し、南ヨーロッパ、アフリカ、中東、インド、東南アジア、ニューギニア、オーストラア、北米中南部、南米の各沿岸部で越冬する。
日本では旅鳥で春と秋に見られるが、冬鳥として越冬する個体もいる。
■福岡での事例
福岡では冬鳥で8~5月頃見られる。
【室見川】2019年9月、2023年4月、9月マリナタウン人工海浜で観察。
【今津】2000年11月瑞梅寺川河口にて観察以来、ほぼ毎年観察。
【和白】2000年12月干潟にて観察。
【海の中道】2017年2月シオヤ岬で記録がある。
【糸島市】2016年10月板持、2017年2月泉川河口で観察。
【福津市】2008年11月津屋崎浜で記録がある。

【2】夏羽。2010.04.30熊本県荒尾市、荒尾海岸にて撮影。

【3】摩耗した夏羽。2006.09.05福岡県福岡市、今津水門にて撮影。

【4】摩耗した夏羽。2006.09.05福岡県福岡市、今津水門にて撮影。

【5】摩耗した夏羽。2023.09.01福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【6】飛翔。腰は白い。摩耗した夏羽。2023.09.01福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【7】飛翔。脇羽は黒い。摩耗した夏羽。2023.09.01福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【8】冬羽。肩羽などの羽縁が白い。2003.12.16福岡県福岡市、和白雁ノ巣にて撮影。

【9】冬羽。2003.12.16福岡県福岡市、和白雁ノ巣にて撮影。

【10】幼羽。上面の軸斑がヒイラギ模様。2019.09.07福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【11】幼羽。上面の軸斑がヒイラギ模様。2019.09.07福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【12】ケヅメ。2003.10.16福岡県福岡市、今津瑞梅寺川河口にて撮影。

【13】磨耗した第1回冬羽。2023.04.08福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【14】飛翔。腰は白い。磨耗した第1回冬羽。2023.04.06福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。

【15】飛翔。脇羽は黒い。磨耗した第1回冬羽。2023.04.06福岡県福岡市、マリナタウン海浜公園にて撮影。
室見川の野鳥版「デジタル野鳥図鑑《
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2023/09/07作成