室 見 川 の 野 鳥 ニ ュ ー ス
室見川の野鳥ニュース
週刊 第3巻第7号
2003年2月16日発行
発行:室見川の野鳥

ウウウ…今週はウのお勉強?そしてアカハジロ?

ヒメウとウミウ

現在福岡ではウはカワウ、ウミウ、ヒメウの3種見られます。ヒメウは小さくて細いので、すぐに違いが分かりますが、カワウとウミウは大きさもほぼ同じで、なかなか見分ける事が難しいものです。今週はこのウのお勉強をちょっと。しかし、ウってあまり人気のない鳥ですね。目の色がグリーンで綺麗なんですが…。
 
私が鳥見を始めた頃、今津のコーナーで先輩バーダーに、干潟にいるウが、カワウかウミウかどちらかと尋ねたところ、「海にいるのがウミウ、川にいるのはカワウ」ってめんどくさそうにこたえられた事があります。
確かにウミウは内陸にあまり入らないと図鑑にも出ています。カワウとウミウは数も多く、冬場は多く見られる事から、いちいち識別されずに、見られたところでおおざっぱに区別されているのかも知れません。
両脇がウミウ、真ん中がヒメウ。

カワウ
ウミウ

サイズ

体長80〜101m

体長84〜92cm

福岡で見られる時期

通年

冬季

営巣場所

岩礁、断崖

樹上

背中の色

褐色光沢の黒

緑光沢の黒

口角の黄色い裸出部の形状

丸い

三角に尖っている

尾の長さ

より長い

やや短い

飛翔時の翼の位置

中心

中心より後

カワウ

口角のところが丸いカワウ。2003.2.10今津河口にて撮影。

かくいう私も基本的には一度その場所でウ類を識別したら、次に同じ場所でウ類を見た場合、個々に再度チェックはしていない事が大半です。
福岡でウ類がよく見られのは今津の干潟、毘沙門山沖の宝島、室見川河口、大濠公園、和白、志賀島と何カ所もありますが、基本的に私はウを見た場合、宝島と志賀島はウミウ、その他はすべてカワウとしています。
で、本当にそうなの?と聞かれるとちょっと困ってしまいます。一度はちゃんと識別はしたのですが…。
カワウとウミウの識別ポイントは上の表の通りです。
このうち私が識別の決め手にしているのは、口角の所の形状です。背の色はウミウでも光の具合や、成鳥ではない場合は緑色には見えません。また、逆にカワウが光線の具合では緑色に見えます。図鑑でも「日本の野鳥590」ではカワウの写真は緑色に見えています。
飛翔時の翼の位置に関しても、飛翔時の頸の伸ばし方にも問題がありますし、まず飛ばないと識別できないと言う欠点があります。

その点目の下皮膚がの黄色く裸出している部分の口角の形状は、スコープでしっかり見ればたいてい判断が付きます。
上がカワウで、右がウミウです。両者とも完全な成鳥ではなく、背の色は黒褐色ですが、このように口角を見れば識別が出来ます。
今回急にこんなウの識別をニューズで取り上げたかというと、実は一番上の写真を撮る時、ウ3種揃い踏みか!と気負っていたからで、実際は左右はウミウだったので、実はがっかりしたところから始まりました。
今後はもう少しちゃんと見なければいけないなと反省を込めて、今回のニュースとしました。
 
週中に大分までちょっと変わったカモを見に行ってきました。大分の高野橋さんがアカハジロとされていた個体でしたが、写真で見る限りメジロガモに見えたもので。
丁度現地で高野橋さんも見えられていて、一緒の観察する事が出来たのですが、雰囲気的にアカハジロなんですが、頭の色が茶褐色で後頭部に緑色光沢がある。

ウミウ

口角のところが尖っているウミウ。2002.1.24志賀島にて撮影。

脇もあまり白くなく、サイズ的にもホシハジロと比較すると小さい。しかしメジロガモとすると、サイズ的には良いけど、頭の形が変だし、脇が白いのが逆に問題があり、後頭部の緑色光沢はおかしい。アカハジロのエクリプスだと頭が茶褐色で後頭部に緑色光沢があるというのは良いのだが、この時期にエクリプスというのは疑問が残ります。アカハジロとメジロガモの交雑というのが一番近いような気がするのですが、繁殖地が離れていて、他に例がないようです。氏原さんにも問い合わせしましたが、結局良く分からず、アカハジロ♂だろうという事になりました。難しいですね。

アカハジロ

アカハジロ♂だろうと言う事になった個体。