室 見 川 の 野 鳥 ニ ュ ー ス
不定期刊 第3号
2001年2月19日発行
発行:室見川の野鳥

室見川に春を告げるシロウオ漁始まる!

 室見川に春を告げるシロウオ漁が始まりました。
 あめ色に透き通ったシロウオ(Leucopsarion petersi )はハゼ科の魚で、成長しても4〜5cmにしかならず、寿命も1年です。
 日本周辺と朝鮮半島の一部に分布するだけで、海での生態もよく分かっていません。また、環境庁のレッドリスト(絶滅の恐れのある生物)の準絶滅危惧(NT) に指定されています。
 シロウオは春になると産卵のために海から川を遡ります。室見川では、この習性を利用した300年以上も続く伝統漁法をおこなっています。
 河口の筑肥室見橋の袂に、杭をうち、そこの「ダツ」と呼ばれる簗(やな)をかけて、流れをせき止め、産卵のために遡上してくるシロウオを取ります。
 近年は渇水の年など漁獲量がほとんどないといった年もあり、室見川白魚組合では産卵場の整備のほか、簗掛けの規模も縮小し、漁獲量より保護に力を入れるようになっているそうです。
 こうして取れたシロウオは河畔の仮設の料理屋等で味わうことができます。有名な「おどり喰い」は、鉢に入れられ泳いでいるシロウオを網杓子で掬って、ウズラの卵が入った合わせ酢のたれで、活きたまま食べるというもの。残酷なようで、賛否両論あると思いますが、これも伝統です。
 私は室見川のものは食べたことがありませんが、実家のある前原で取れたものをその昔食べたことがあります。口の中で動き回り、意を決して飲み込むと、喉を通るのが分かります。鳥たちはいつもこのようにして食べているんでしょうね。

シロウオ漁の簗と料理屋(2月19日撮影)

■棒杭の上にとまるユリカモメ達。
シロウオはユリカモメ達にとっても好物。遡上してくるシロウオを待っている。
漁をする方にすれば天敵だろうが、ユリカモメを追い払うといった話は聞いたことがないので、共存できているのでしょう。
今年は大量だったらいいな!